「社会性は早いうちから身につけるとよい」という話を耳にしたことがある人は少なくないでしょう。社会性を早いうちから身につけさせたいと思っても「そもそも社会性とは何なのか」「どうすれば身につくものなのか」あまり知らない人もいるのではないでしょうか。
当記事では、子どもにおける社会性について解説した上で、子どもに社会性を身につけさせるときに意識したいポイントと社会性の育成に効果的なごっこ遊びを紹介します。「子どもの社会性を育むのに親は何をするべきなのか」を詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
1.子どもにとっての「社会性」とは?
社会性とは、人が社会集団の一員として生きていく上で必要な資質や能力を指す言葉です。人は「社会的動物」であると言われており、他者と関わらずに一人きりで生きていくのは難しい生き物です。人間関係を良好に保ち、生活を円滑に営むには、十分な社会性を身につける必要があります。
子どもにとっての社会性は、「自分の気持ちを伝える」「相手の言うことを聞く」などのコミュニケーション能力が備わっていることです。ただし、スムーズに話をしたり聞いたりできれば、社会性があるというわけではありません。他者を思いやる共感性が、コミュニケーション能力と社会性の発達を左右します。
1-1.子どもが社会性を身につけるべき理由
社会性は、子どものうちから身につけておくことが大切です。もし、子どもが社会性を身につけずにいた場合、次のような弊害を生じる可能性があります。
- 自分の思いや考えをうまく伝えられず自己主張が苦手になり、引っ込み思案になる
- 人の気持ちが分からず、不適切な行動をして周囲に迷惑をかける
- 人と協力したりルールを守ったりできず、集団生活にうまくなじめなくなる
社会性を身につけなかった弊害は保育園や幼稚園、小学校などでの社会生活のみならず、地域社会との関わりや、大人になってからの生活にも影を落とします。子どもがさまざまな集団の中でたくさんの人々と関わり合いながら楽しく暮らしていけるよう、幼児期から社会性を培いましょう。
2.社会性を身につけさせるために!子どもの年齢別で意識したいポイント
一般的に、子どもは4〜5歳頃から社会性を身につけはじめると言われています。4〜5歳頃は、多くの子どもが保育園や幼稚園に通い、友だちと仲間関係を築いていく時期です。友だちと喜怒哀楽をともにすることで、自然と社会性が育まれます。
しかし、社会性を身につけるための土台作りは、生まれた瞬間から始まります。0歳から少しずつ子どもの社会性を伸ばすアプローチを重ねるのは重要です。ここでは、子どもに社会性を身につけさせるために意識したいポイントを、年齢別に紹介します。
2-1.【0~1歳】社会性を身につける土台を作る
0〜1歳の子どもは、まだ社会性を身につけられません。しかし、社会性を身につける土台となる親子の信頼関係は築けます。
0〜1歳の子どもと信頼関係を築くには、積極的にスキンシップをとることを意識しましょう。また、まだおしゃべりができないうちから「おいしいね」「気持ちいいね」など、笑顔で声かけをするのも大切です。積極的にスキンシップをとることで子どもは愛情に満たされ、情緒が安定し、親以外の人にも信頼を寄せられるようになります。
2-2.【2~3歳】ケンカをしていても止めない
2〜3歳になると、子ども同士で一緒に遊べるようになります。しかし、おもちゃの取り合いなどで兄弟や友だちとケンカになることもあるでしょう。ケンカを止めたくなりますが、暴力を伴わないケンカについては少し我慢して見守るように心がけてください。
子どもにとって、ケンカは自分の気持ちを相手に伝えたり、相手の気持ちに気づいたりするチャンスです。また、ケンカを収束させるために試行錯誤すると、解決力を培えます。
親の出番は、ケンカが終わった後です。解決できたことを褒めたり、ケンカによって得られた内容を振り返ったりして、子どもの学びを深めましょう。
2-3.【4~5歳】積極的に外に連れ出してみる
子どもが4〜5歳になったら、子どもを積極的に外へ連れ出し、できるだけ多くの人と関わりを持たせましょう。人との関わりは特別な機会を設けなくても、近所を散歩したり、地域の行事に参加したりして、出会った人と会話を楽しむだけで十分です。さまざまな人と触れ合う体験を積み重ねると、高度な社会性を身につけられます。
ただし、子ども一人だけで他者と関わらせるのは避けましょう。相手に失礼なことを言ったり、相手から悲しい思いをさせられたりするなど、思わぬトラブルが起こる可能性があります。子どもが見ず知らずの人とコミュニケーションをとるときは、親が必ず傍についていてください。
3.子どもの社会性を育むためには「ごっこ遊び」が効果的!
「ごっこ遊び」とは、親をはじめとする身近な人や、物語の登場人物などになりきる遊びです。主なごっこ遊びとしては、「おままごと」や「お店屋さんごっこ」などが挙げられます。
ごっこ遊びをすると、想像力や表現力・協調性・道徳性などの社会的スキルが培われます。そのため、子どもの社会性を育むには、ごっこ遊びが効果的であると言われています。
3-1.年齢別におすすめのごっこ遊びの種類
子どもが身につけるべきこと・できることは子どもの年齢や発育によって異なるので、それぞれの子どもに合ったごっこ遊びをすることが大切です。以下より1つの指標として、年齢別におすすめのごっこ遊びを紹介します。
・0~1歳
0〜1歳は、ごっこ遊びの基礎を培う時期です。下表のような、真似や見立てに主眼を置いたごっこ遊びを楽しみましょう。
まねっこ遊び | 親がする手遊びや、動物の鳴き声や動きを真似して遊ぶ。 |
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見立て遊び | 積み木を電話、砂を食べ物などに見立てて遊ぶ。 |
・2~3歳
2〜3歳になると、役割を意識した再現遊びができるようになります。下表のような、身近な人になりきって役割を演じるごっこ遊びをするとよいでしょう。
おままごと | お料理をしたり、家族とご飯を食べたりする姿を再現して遊ぶ。 |
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お店屋さんごっこ | ケーキ屋さんや八百屋さんなど、身近なお店の店員になりきって遊ぶ。 |
・4~5歳
4〜5歳になると、空想上のキャラクターを演じたり、オリジナルのストーリーを作ったりできるようになります。また、友だちと考えやルールをすり合わせながら、集団遊びができるようになるのも、4〜5歳児の大きな特徴です。下表のような、想像力やコミュニケーション能力を駆使するごっこ遊びもよいでしょう。
ヒーローごっこ | ヒーローになりきって、敵と戦ったり、味方を守ったりして遊ぶ。 |
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お姫様ごっこ | お姫様になりきって、おしゃれをしたり、踊ったりして遊ぶ。 |
3-2.ごっこ遊びを実施する際のポイント
ごっこ遊びによって社会性を育むには、以下に挙げる3つのポイントを押さえる必要があります。
- イメージが膨らむ環境を整える
ごっこ遊びを楽しむには、イメージが膨らむ環境を整えることが大切です。小物や道具などを用意して、子どもの想像力をかき立てましょう。 - 親が一緒に遊ぶ
ごっこ遊びをするときには、親も一緒に楽しみましょう。親とのコミュニケーションや、親からのサポートは、社会性の育成に大きく寄与します。 - 細かな指示は避ける
ごっこ遊びの主役は子どもです。子どもの主体性や発想力を奪わないよう、子どものしたいことに寄り添い、細かな指示をしないよう心がけてください。