子どもが手を器用に使えるようになったり、幼稚園や小学校への入園・入学が近づいたりすると、そろそろはさみの持ち方を教えたいと考えはじめる人は多いでしょう。しかし、どのようにはさみの持ち方を教えればよいのかが分からず、困っている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、はさみの持ち方や練習方法、はさみを使うときの注意点などを紹介します。子どもにはさみを安全に使えるようになってもらいたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
1.はさみの持ち方は何歳から練習する?
一般的に、スプーンやフォークを使って上手に食事ができるようになる2~3歳前後には、はさみの持ち方を練習させはじめられるといわれています。
ただし、じっと座っていることが難しかったり、約束を守ることが難しかったりする場合には、必ずしも2~3歳前後ではさみの持ち方を教える必要はありません。はさみの持ち方を練習させはじめる時期は、子どもの落ち着き度合いを考慮して決めましょう。
1-1.はさみを使うときの「約束事」
子どもにはさみを使わせる際には、怪我をしたり、誰かを傷つけたりしないためにも、以下のような「約束事」を設けてしっかりと守らせることが大切です。
- はさみを使うときには、大人のいうことをよく聞く
- 大人がいないときには、はさみを使わない
- はさみは必ず座って使う
- 紙以外のものは切らない
- はさみを使うときにはよそ見をしない
- 自分や人に刃先を向けない
- はさみを持ち運ぶときには、刃を閉じて刃のほうを持つ
- はさみを人に渡すときは、刃のほうを持って持ち手を相手に向けて差し出す
- はさみを使い終わったら、刃を閉じて決まった場所にしまう
約束事を伝える際には、守らないとどのような危ないことが起こるのかもあわせて伝えましょう。子どもの理解を深めるためには、絵を使って説明することも効果的です。
2.【子どもの年齢別】はさみの持ち方とは?
子どもにとって適したはさみの持ち方は、年齢によって異なります。
年齢 | 持ち方 |
---|---|
2歳~ | 小さな上の穴に親指、大きな下の穴に人差し指と中指を入れて持つ。力が弱く不安定な場合には、下の穴に薬指も入れる。 |
3歳~ | 小さな上の穴に親指、大きな下の穴に中指と薬指を入れ、人差し指を下の穴に添えるようにして持つ。 |
ただし、上記はあくまで目安です。手の大きさや力の強さ、指先の器用さなどの成長具合を考慮して、子どもに合うはさみの持ち方を教えましょう。
2-1.子どもに適したはさみの選び方
子どもにはさみを使わせる際には、以下に挙げる3つのポイントをチェックし、子どもに適したはさみを選びましょう。
- 利き手で選ぶ
はさみには、右利き用と左利き用の2種類があります。右利き用と左利き用とでは持ち手の大きさと刃のかみ合わせが反対になっており、利き手とは異なるはさみではうまく切ることができません。そのため、必ず子どもの利き手に合うはさみを選びましょう。 - 素材で選ぶ
子ども用のはさみには、主に金属製とプラスチック製の2種類があります。プラスチック製のはさみは安全性が高いため、初めてはさみを使う子どもにピッタリです。しかし、プラスチック製のはさみは切れ味が悪いため、はさみの扱いに慣れたら金属製のはさみに切り替えることをおすすめします。 - 刃の短さや使いやすさで選ぶ
手が小さく、握力も弱い子どもには、刃が短く、手にフィットする子どもサイズのはさみを与えましょう。また、刃先が丸いものやガードが付いているもの、ケース付きのものなど、安全性が高いものを選ぶと安心です。
3.はさみの持ち方を習得させる!おすすめの練習方法3つ
子どもにはさみの持ち方を習得させるための第一ステップは、「開く・閉じる」という基本的な動作に慣れさせることです。最初は紙を切らず、はさみを地面に対して垂直に持って開いたり閉じたりする練習を繰り返しましょう。
「開く・閉じる」の動作をマスターできたら、いよいよ紙を切る練習をします。紙を切る練習は、段階を追って、スモールステップで進めることが大切です。ここでは、おすすめの練習方法を3つ紹介します。
3-1.1回切り
「1回切り」とは、はさみの刃を1回だけ閉じて切る方法です。1回切りの練習をする際には、1~2cm幅に切ったテープ状の紙を用意しましょう。直線の切り取り線を引いておくと、より切りやすくなる上、安全に練習できます。
1回切りの練習手順は、以下の通りです。
- (1) はさみを持つ手とは反対の手で紙を持つ
- (2) 紙をはさみで挟んで刃を閉じ、紙を切り落とす
- (3) 次の場所を切るため、紙を持つ位置をずらす
- (4)(2)~(3)を繰り返す
子どもに指示を出す際には、「チョキン」などの擬音語を交えて分かりやすく声かけするように心がけましょう。
3-2.連続切り
「連続切り」とは、はさみの刃を2回、3回と繰り返し閉じたり開いたりして切る方法です。1回切りに慣れたら、はがきほどの幅がある紙を用意して、連続切りの練習をしましょう。1回切りのときと同様、直線の切り取り線を引いておくと、迷わず安全に練習できます。
連続切りの練習手順は、以下の通りです。
- (1)はさみを持つ手とは反対の手で紙を持つ
- (2)紙をはさみで挟み、刃を途中まで閉じる
- (3)刃を開き、はさみを先に進める
- (4)(2)~(3)を繰り返す。
連続切りの練習をする際には、スムーズにはさみを進められるよう、刃先ではなく刃の根元で切ることを意識させましょう。
3-3.多方切り・曲線切り
「多方切り」は途中で紙の向きを大きく変えて切る方法、「曲線切り」は紙の向きをこまめに変えながら曲線に切る方法です。多方切りはジグザグ模様や四角形、曲線切りは円や波形を描いた紙を使って練習できます。
多方切り・曲線切りの練習手順は、以下の通りです。
- (1)はさみを持つ手とは反対の手で紙を持つ
- (2)紙をはさみで挟み、刃を途中まで閉じる
- (3)刃を開き、紙の向きを変えて引き寄せる
- (4)(2)~(3)を繰り返す
多方切り・曲線切りのコツは、はさみではなく紙を動かすことです。はさみを持った手はまっすぐに保ったまま、紙だけを切りたい方向に動かす練習をしましょう。
4.子どもがはさみを使うときの注意点2つ!
子どもがはさみを使うときには、大人も一緒にはさみを使うことを楽しみましょう。大人がはさみで遊ぶ姿を間近で見せることにより、子どもにはさみの楽しさを強く感じさせたり、よいお手本になったりします。
また、「子どもが1人ではさみを使わないように気を付ける」「『はさみは危険なもの』ということを伝える」といった2つの注意点を押さえておくことが大切です。ここでは、それぞれの注意点について詳細を解説します。
4-1.子どもが1人ではさみを使わないように気を付ける
子どもがはさみを使うときには、子どもから目を離さないように注意してください。子どもにはさみを使うときの約束事を伝えていたとしても、夢中になっているうちに使い方を誤り、怪我をしてしまう恐れがあります。そのため、大人の目でしっかりと見守り、事故を未然に防ぎましょう。
また、子どもが1人で勝手にはさみを使うことを防ぐ対策も必要です。はさみは子どもの手が届かない場所に収納し、使うときには必ず大人の許可を得るように伝えましょう。
4-2.「はさみは危険なもの」ということを伝える
子どもに「はさみは危険なもの」であると理解させることは、はさみの楽しさを伝えること以上に重要です。子どもにはさみの危険性をよく教えないと、子ども自身が怪我をしてしまうだけでなく、人に危害を加えてしまう可能性があります。
子どもにはさみの危険性を深く理解させるためには、子どもがはさみを使う様子を見守りながら、その場その場で危険な理由を丁寧に教えることが大切です。「はさみを振り回すとお友達の目に刺さってしまうかもしれない」など、できるだけ具体的に説明するように心がけましょう。