近年、若者から社会人の間で「朝活」が流行しています。朝活とはその名の通り朝に活動することであり、具体的には出勤前などに朝の空いた時間を活用して何らかの活動をすることを指します。
朝は、太陽光を浴びると分泌が促進されるセロトニンによって、前向きに活動できると言われています。そのため、子どもには朝活ならぬ「朝学習」をさせることがおすすめです。
そこで今回は、朝学習のメリット・デメリットと夜学習のメリット・デメリット、さらに朝学習を効果的にするためのコツを詳しく解説します。
目次
1. 朝学習のメリット・デメリットとは?
朝は「ゴールデンタイム」とも呼ばれ、1日の中で最も頭が冴える時間帯とされています。その理由は、朝の日光を浴びることで分泌されるセロトニンのおかげで、脳の活性化が期待できるためです。朝活や朝学習が流行していることには、このような背景があります。
では、朝学習の具体的なメリット・デメリットには何があるのでしょうか。まずは、朝学習のメリット・デメリットをそれぞれ2つずつ紹介します。
1-1. メリット1:限られた時間の中で集中して勉強できる
朝学習は、生産性の向上に大きくつながるとされています。なぜなら、夜と違って時間がしっかり限られているためです。
夜は自由な時間が多い一方で、つい怠けてしまう可能性があります。しかし朝は登校・登園の必要があるため、学習に費やせる時間は有限です。そのため「〇時までにはここまで終わらせておかなければならない」という緊迫感が生まれ、夜の時間帯よりも集中して効率よく学習に取り組むことができます。
1-2. メリット2:学習習慣が身につく
学習習慣をしっかり身につけるためには、毎日同じ時間帯で学習時間のスケジュールを固定することが最もおすすめです。しかし、夕方や夜の時間帯にスケジュールを固定しようと思ってもうまくいかないケースが多々あります。夕方や夜は家族と外食に行くなど、何らかのイレギュラーなイベントが舞い込んでくる可能性もあるためです。
しかし朝の時間帯は、朝ご飯を食べる・歯磨きをする・服を着替えるなどルーティン作業が多いため、朝早く起きるだけで朝学習のスケジュールを組み込め、学習習慣もスムーズに身につけられるでしょう。
1-3. デメリット1:お昼以降に眠くなりやすい
朝学習の最大のデメリットは、お昼以降に眠くなりやすいという点です。多くのケースで、「これまでの起床時間よりも1時間早く起きる」という変化が起こるため、慣れないうちはお昼ご飯を食べた後から突然睡魔に襲われることも少なくありません。
とは言え、お昼以降に眠くなりやすいのは比較的はじめのうちだけであり、習慣化して身体が慣れると眠さを感じにくくなるでしょう。
1-4. デメリット2:睡眠不足になりやすい
朝学習のもう1つのデメリットが、睡眠不足になりやすい点です。たとえ普段は早寝を心がけていても、気になるテレビを見てつい夜更かしをしてしまうといった日もあるでしょう。このような日は睡眠不足となり、せっかくの朝学習もなかなか集中できなくなるだけでなく、学校や保育園にいる日中は強い睡魔に襲われてしまう可能性があります。
どのような日でも必ず決まった時間に寝ることは現実的ではないため、睡眠不足によって集中力が急激に低下する日があったり、生活リズムが狂ってしまったりするリスクもあるということを覚えておきましょう。
2. 朝学習ではなく「夜学習」のメリット・デメリットとは?
朝が弱く、朝学習をすることが難しい子どもの場合は、「夜学習」も1つの方法です。夜学習にも、朝学習と同様にメリット・デメリットが存在します。
ここからは、夜学習のメリット・デメリットを紹介するため、「朝がどうしても苦手な子どもに、夜でもいいから学習習慣をつけさせたい」という人はぜひ参考にしてください。
2-1. メリット1:学習内容が定着しやすい
夜の時間帯、特に就寝前の時間帯は「記憶のゴールデンタイム」と言われているように、夜学習は学習内容が記憶に定着しやすいことが特徴です。睡眠中は脳が記憶の整理・定着を行うことから、就寝前の勉強はより定着しやすくなるでしょう。そのため、夜学習は暗記系の勉強がおすすめです。
2-2. メリット2:静かな環境で勉強できる
夜の時間帯は朝や昼よりも外が静かで家の中の生活音も減るため、より静かな環境で勉強できる点もメリットです。落ち着いて学習することができることから、周囲の音が気になってしまう子どもであれば夜学習のほうが向いていると言えるでしょう。
2-3. デメリット1:疲れが溜まりやすい
夜は朝と違って、1日の疲れが最も溜まっている状態です。その日の疲れ具合によっては眠気を感じることさえあり、夜学習になかなか集中できないというケースもあるでしょう。身体的な疲労だけでなく、精神的な疲労にもつながってしまう点には注意が必要です。
2-4. デメリット2:朝と比較して誘惑が多い
夜は唯一まったりと家族団らんのできる時間帯であるだけでなく、子どもが楽しめるテレビ番組も多くあります。朝と比較して勉強の妨げになってしまう誘惑が多いため、日によってはなかなか集中できない可能性もあるでしょう。
集中力の切れた状態で夜学習に向いている暗記系の勉強をしても定着はしないため、保護者である親が数々の誘惑をシャットアウトする必要があります。
3. 子どもの朝学習を効果的にするコツ3つ
夜学習にも、朝学習と同じようにメリット・デメリットがあるため、決して夜学習は避けておくべきというわけではありません。
しかし、なるべく子どもが集中して勉強する環境を作り上げたいなら、「朝型」を維持するほうがおすすめと言えるでしょう。朝型になると目覚めがよくなり、時間が有限であることから時間管理能力も身につくなど、ほかのメリットも多々あるためです。
ここからは、子どもの朝学習を効果的にするコツを3つ紹介します。
3-1. 質のいい睡眠を取る
朝学習の時間を確保するためには、当然早起きをする必要があります。これまでのように朝ごはんや歯磨き・着替えをできるだけの時間よりも早く起きなければなりませんが、睡眠時間を削ることによる悪影響(集中力の低下など)も無視できません。
なるべく目覚めよく起きられるようにするためには、質のいい睡眠を取ってもらうことが重要です。個人差はありますが、1日に必要な睡眠時間は約6~8時間とされています。この睡眠時間をキープし習慣化させることができれば、質のいい睡眠を取れるようになるでしょう。
また、「眠れない」という状況を発生させないためにも、就寝の1時間半前に入浴させる・毎日20~30分程度の有酸素運動をさせるなど、スムーズに睡眠に導入するための方法も実践してみることもおすすめです。
3-2. 子どもの生活習慣作りをサポートする
朝学習のすべてを、親がサポートする必要はありません。親がサポートすべき部分は、子どもの「生活習慣作り」のみです。
生活習慣作りをサポートするためには、まず子どもが朝にどのような学習をするのか、その学習にどれほどの時間がかかる見込みなのかを詳しく聞きましょう。その後、スケジュール表などを作成させ、子どもがその通りに行動できるまでをサポートします。
ある程度の生活習慣が身についてきたら、親はそれ以上行き過ぎた干渉をしないよう注意が必要です。遠くからサポートする程度で見守っておくことで、子どもの自立心や時間管理能力も自然と伸びるでしょう。
3-3. しっかりと褒める
朝学習に取り組む子どもに対しては、しっかりと褒めることも効果的です。子どもにとって、「褒められた」という嬉しさは朝学習へのさらなるやる気・積極性にもつながります。
しかし、ただやみくもに褒めるだけでは、子どもはなぜ褒められたのか、具体的にどこがよかったのかが見えないため、褒めることの効果が期待できません。子どもを褒めて伸ばすためには、「自分で決めたスケジュール通りにしっかり進めることができてすごい!」など、可能な限り具体的な内容で褒めるようにしましょう。
まとめ
「ゴールデンタイム」とも呼ばれる朝は、朝日を浴びることで分泌されるセロトニンのおかげで脳の活性化が期待でき、大人の朝活や子どもの朝学習に最適です。時間が限られているため集中力は大いにアップし、生産性も高まります。また決まったルーティンに組み込むだけであるため、家庭学習習慣も身につけやすいという点もメリットです。
子どもの朝学習を効果的にするためには、学習法・勉強法に工夫を取り入れるだけでなく、「質のいい睡眠を取る」「子どもの生活習慣作りをサポートする」「しっかりと褒める」の3点もポイントとなります。
また、子どもがやる気を失わず朝学習を維持するためには、勉強内容を細かく指示したり、学習場所も定めたりするなど子どもに対して過干渉になりすぎないよう、遠くから見守る程度がおすすめです。ここまでの内容を参考に、ぜひ子どもの朝学習を適切にサポートしてみてはいかがでしょうか。