下絵となる白黒の線画に、クレヨンや色鉛筆で自由に色付けていく「塗り絵」は、子どもたちが喜ぶ代表的かつ人気の遊びです。手を使ってなぞった場所に色が付いていく様子は、子どもにとって好奇心がくすぐられるものであり、ついつい紙ではないところに塗り絵をしてしまう子も多々います。
塗り絵は、子どもにとって楽しい遊びとなるだけでなく、あらゆる知育効果も期待できるとされています。そこで今回は、塗り絵が子どもに与えるよい効果や、塗り絵効果を高めるために親が押さえておくべき注意点、おすすめの塗り絵の選び方を徹底的に紹介します。
1.塗り絵が子どもに与えるよい効果4選!
塗り絵は、下絵となる白黒の線画にクレヨンや色鉛筆、カラーペンで色を塗り分けていくことが基本的な遊びですが、必ずしもそれが正しい遊び方ではありません。色塗りの感覚を楽しめればよい遊び道具であるため、上手に塗り絵のできない小さな子どもにもおすすめです。
塗り絵は、1歳半~2歳ごろに始めるとよいでしょう。決して正しく塗れなくても、手先のトレーニングになったり、あらゆる能力を鍛えたりすることができます。
ここからは、塗り絵が子どもに与えるよい影響・効果について詳しく紹介します。
1-1.手先のトレーニングになる
子どもは1歳を過ぎると、棒状のものを握れるようになってきます。塗り絵はクレヨンや色鉛筆を握る必要があるため、指にうまく力を入れるトレーニングになるでしょう。
また、塗りたい箇所にしっかり色を付けていくためには、ただ握る力だけではなく手首をひねったり指先の力を入れる場所を工夫したりする必要もあります。塗り絵を楽しむことによって、これらの力が自ずと鍛えられる点は非常に魅力的な効果と言えるでしょう。
1-2.集中力が高まる
集中力は、大人になっても活きるスキルとなります。子どもの段階で集中力をしっかり身につけておけば、物事に集中して取り組めるようになるだけでなく、目標の達成もしやすくなるでしょう。
塗り絵を楽しむ、つまり没頭することによって、集中力アップが期待できます。子どもが塗り絵に没頭しやすいよう、周りにはほかに気になるおもちゃを置かないなどの親のサポートも時には必要となるでしょう。
1-3.色彩感覚が育まれる
さまざまなカラーを使った塗り絵を楽しむことによって、子どもの色彩感覚が自ずと育まれます。また同時に、想像力・創造力のトレーニングにもなるでしょう。
小さな子どもは、その絵の正しい色ではなく、自分の好きな色を塗る傾向にあります。自分の好きな色を使い分けながら組み合わせることは、色彩感覚を育むのに重要な要素となるでしょう。そのため、親は子どもが使う色についてあれこれと口出ししないことがポイントです。
1-4.達成感を得られる
集中しながら手先を器用に使い、あらゆる色を組み合わせて塗り絵を完成させたとき、子どもは「やっとできた」といった達成感に包まれます。物事の達成は子どもの成長において欠かせない体験であり、自己肯定感アップにもつながるでしょう。
また、完成した塗り絵を先生や親に褒めてもらえることで、「もっとやりたい」「次は上手に塗りたい」といった積極性も芽生えます。
2.子どもの塗り絵効果を高めるために!親が押さえたい注意点
「周りの子どもが塗り絵を始めているから」という理由だけで、自分の子どもにも塗り絵をさせることはおすすめではありません。このような理由で始めると子どもは「塗り絵を強いられている」という気持ちにもなり、自然と楽しむことができないためです。あくまでも、子どもが望めば親も一緒に楽しむというスタンスで塗り絵に取り組みましょう。
ここからは、子どもの塗り絵効果を高めるために親が注意しておきたいさまざまなポイントについて詳しく紹介します。
2-1.デメリットがあることも知っておく
塗り絵は子どもが楽しんで取り組めて、かつあらゆる知育効果も期待できるという魅力的な遊びですが、その反面にデメリットが存在することも忘れてはなりません。
考えられるデメリットは、「自由な発想の妨げ」「自己肯定感の喪失」です。塗り絵は大人が作った線画に沿って色を塗り分けていくため、例えばイルカのイラストなら「イルカはこう描けばよい」と無意識に刷り込まれてしまうケースもあるでしょう。
また、筆圧コントロールが苦手な子どもは大人のように線からはみ出さず色を塗ることができないため、「ママ・パパ・お姉ちゃん/お兄ちゃんのようにきれいに塗れない」「自分にはできない」と考え、自信を失ってしまう可能性もあります。
これらのデメリットを払拭するためには、親が細かい指摘をしないことも重要です。
2-2.しっかり褒める
子どもが塗り絵をしたあと、親は完成度に限らずしっかり褒めることが大切です。子どもはある程度大きくなり、あらゆる物事を理解できるようになると、枠の中に色を収めることに集中するようになります。しかし、まだまだ手先を器用に動かすことができないため、上手に塗ることができず落ち込んでしまうケースも多々あるでしょう。
落ち込んでいるところに、塗り方について指摘されるとよりストレスを感じ、塗り絵を心から楽しめなくなってしまいます。そのため、「前よりも上手に塗れるようになってきたね」「色の使い方がきれいだね」と、具体的に褒めてあげるようにしましょう。しっかり褒めることで子どもの自己肯定感は向上し、塗り絵に対してさらに積極的になることが期待できます。
2-3.親も一緒に楽しむ
塗り絵は基本的に1人遊びのできる道具ですが、時には親も一緒になって塗り絵を楽しむことがおすすめです。親子で一緒に塗り絵を楽しむことで、子どもは親の塗り絵を見て「自分もここをこうしてみたら、ママ・パパのようにもっと上手になれるかも」と考え、行動に移せるようになります。
また、このとき親は子どもの塗り絵について指示・指摘するのは避けるべきです。塗り絵は自由に塗ってはいけないと子どもが感じてしまうと楽しさが半減してしまうため、子どもならではの遊び方を見守ってあげましょう。
2-4.汚れてもいい環境を整える
手首の動かし方や筆圧のコントロールが苦手な子どもは、塗り絵に夢中になるあまり、机や床、さらに洋服などに色を塗ってしまうケースも多々あります。このとき、つい叱ってしまう親も多いでしょう。しかし、子どもは怒られたことをきっかけに塗り絵を楽しみにくくなってしまう可能性があるため、親があらかじめ汚れてもいい・叱らなくてもいい環境を整えてあげることが大切です。
机や床で塗り絵をさせるときは、机のすべてをカバーできるほどの大きな模造紙を敷いたり、汚れてもいい服を着させるなど、さまざまな工夫を凝らしましょう。
3.子どもの塗り絵はどう選ぶ?おすすめの選び方2つ
子ども向け塗り絵製品には、さまざまな種類があります。子どもが興味をもって塗り絵に楽しく取り組むためには、適切な塗り絵商品を選ぶことが大切です。最後に、塗り絵の選び方を2つ紹介します。
●年齢別で選ぶ
子どもの年齢や成長段階を考えて適切な商品を選ぶことは、最も大切です。特に、小さな子どもは手先が器用でなく細かい部分を塗ることが困難なため、なるべく余白の多いシンプルな絵柄の子ども用商品を選びましょう。また、塗り絵には動物や乗り物、食べ物、キャラクターものなどさまざまなテーマがあるため、子どもの好みに沿って商品を選ぶこともおすすめです。
●塗り絵のタイプで選ぶ
塗り絵には、一般的な紙タイプから、絵本タイプ、立体タイプなどバリエーション豊富なことが特徴です。絵本タイプは塗り絵だけでなくストーリーも楽しめて、立体タイプは工作も楽しめます。はじめは線画が印刷された一般的な紙タイプから始め、子どもが上達したり飽きてきたりしたときに絵本タイプや立体タイプなど、さまざまな楽しみ方ができる商品を取り入れてみるのもよいでしょう。
まとめ
塗り絵は、子どもにとって楽しい遊びとなるだけでなく、手先のトレーニングや集中力・色彩感覚の向上も期待でき、大きな達成感を得られるものとなっています。何歳から取り組んでも問題はありませんが、子どもの発達状況や、汚れたり誤飲のおそれがあったりすることを考えると1歳半~2歳ごろからがおすすめです。
子どもの塗り絵効果を高めるためには、親が子どもをしっかり褒めたり、一緒に楽しんだりするとよいでしょう。子どもの使う色を指摘したり、机や床、洋服を汚したときに叱ったりすることはおすすめしません。
また、塗り絵商品は子どもの成長段階や好きなものに合わせて、適切なテーマやタイプのものを選ぶことが大切です。ここまでの内容を参考に、ぜひ子どもに塗り絵遊びをさせてみてはいかがでしょうか。