幼児教育を行う上で、表現力は伸ばしたい能力の1つです。これからの社会は知識の豊富さだけでなく、自分の考えなどを表現する力が必要と言われています。将来にわたって子どもが能力を発揮できるよう、幼少期からサポートしましょう。
表現力を鍛えるためには、社会生活において表現力がどのように作用するのか、どうしたら身につくのかを知る必要があります。当記事では、表現力の概要を解説した上で、表現力を伸ばすさまざまな方法を紹介します。日常生活で実践しやすい遊びなどを取り入れたい場合は、参考にしてください。
1.そもそも「表現力」とは?
表現力とは、一般的に自分の内側にある感情や相手に伝えたいことを、言語・表情・身振り・文字などを用いて表すこととされています。
豊かな表現力は、社会の一員として生活するために欠かせません。表現力が乏しい場合、自分の気持ちや欲求をうまく伝えられず、周囲とのコミュニケーションが難しくなる場合があります。相手の気持ちを理解できないため、自分勝手な人と思われる可能性もあるでしょう。
表現力を鍛えるには、他者と関わる中で自分の気持ちや考えを伝える努力が重要です。子どもは両親や友だちと過ごす中で心の内側を表現し、自分の意思を伝える方法を身につけると言われています。
1-1.学力の重要な3つの要素に含まれる「表現力」
表現力は、思考力・判断力とともに、生涯にわたって学んでいくために必要な力の1つです。
文部科学省の資料によれば、子どもたちに必要なのは、まず「基礎的な知識や技能」の習得です。習得した知識・技能を活用し、問題解決に必要な「思考力・判断力・表現力」を育み、変化する社会に適応するための「学習に取り組む主体的な態度」を養います。しかし、近年の子どもたちの思考力・判断力・表現力には課題が見られるとし、文部科学省は表現力などの育成を目指しています。
出典:文部科学省「第1章 言語活動の充実に関する基本的な考え方」
思考力・判断力・表現力は、物事を柔軟に考えて他者と共存するために必要な能力のため、子どものうちから力を伸ばせるように働きかけることが大切です。
2.子どもの表現力を伸ばすためにおすすめの遊び3つ
子どもの表現力は、親の働きかけによって伸ばすことができます。遊びは表現力を養うチャンスです。子どもの興味に目を向け、豊かな心を育めるよう親が遊びをサポートしましょう。
ハッピークローバーでは、表現力の向上が期待できる知育教材を数多く扱っています。ここで紹介する遊びを参考に、子どもが意欲的に取り組める知育教材を検討しましょう。
2-1.言葉遊び
言葉遊びによってたくさんの言葉を学んで使えるようになると、子どもの表現力は高まると言われています。言葉は自分の気持ちや伝えたいことを表現する重要な手段です。言葉をよく聞き、的確に使えると、自分の心の内側をうまく表現できる機会が増えます。
言葉遊びには、しりとり・なぞなぞ遊び・回文・早口言葉・数え歌・絵描き歌などたくさんの種類があります。難しすぎる文章は子どもにとって負担になるため、簡単な言葉遊びから徐々に難易度を上げていきましょう。
言葉遊びは特別な道具が不要で、移動中などの空き時間で手軽にできます。親子の会話の中に取り入れ、楽しみながら学べるのが言葉遊びのメリットです。
2-2.工作・粘土遊び
工作・粘土遊びは、イメージを立体で表現するため表現力の向上に役立ちます。また、手指の細かい動きが求められることから、表現力のみならず創造力や想像力も培われるでしょう。
工作・粘土遊びでは、子どもが想像したものを自由に製作してもらいます。例えば動物のゾウを作る場合も子どもによって表現の仕方が違い、長い鼻を表現しようとする子どもがいれば、大きな耳に着目する子どももいます。子どもが「どう表現するか」を大事にし、親の固定観念を押しつけないよう注意しましょう。
工作・粘土は幼い頃からできる遊びですが、安全に楽しめるよう環境を整えることが必要です。幼い子どもが遊ぶ場合は、細かいパーツや刃物の取り扱いに気をつけ、口に入れても安全な小麦粘土などの使用をおすすめします。
2-3.本の読み聞かせ
本の読み聞かせは、表現するために必要な想像力や言語能力が培われると言われています。
読み聞かせる本は、子どもの興味や年齢に合わせたものを選ぶことが大切です。例えば、幼い子どもに長すぎる童話を読んでも、途中で飽きてしまうでしょう。子どもの様子を見て、簡単な内容から読み聞かせを始めることがおすすめです。
なお、読み聞かせをする際は親も本の世界観を楽しみましょう。「ながら読み」では親も子どもも集中できないため、テレビなどを消した静かな環境での読み聞かせが適しています。
3.子どもの表現力を伸ばすためにおすすめの習い事4つ
習い事をすると、子どもの表現のバリエーションが増え、豊かな表現力を養うことが期待されます。自己表現ができると、社会に出てからも人間関係がうまくいくなどのよい影響があります。
習い事は、子どもの様子を見ながら進めることが大切です。レッスンを無理強いして、子どもが習い事を嫌いになるような事態は避けましょう。ここでは、子どもが幼いうちから楽しく通える習い事を紹介します。
3-1.英会話
英会話は表現力を鍛えるよい機会です。英会話のレッスンで多く用いられるスタイルは、学んだ英語を用いて自分の考えを話すことです。英会話は一方的に「教えられる」のではなく、主体的に参加して他者とコミュニケーションを取るため、自分の頭の中を整理して表現する訓練になります。
英会話を始めるときのポイントは、子どもが英語を好きになれるよう楽しい雰囲気を作ることです。馴染みのない言語が子どものストレスになる場合、歌やゲームを用いて英語を身近に感じられる教室などを選びましょう。
3-2.絵画
絵画は、頭の中にある物や光景をどうしたらうまく伝えられるのか考えて描くため、表現力の向上に役立ちます。家で絵を描くよりも絵画教室をおすすめする理由は、他者と関わる機会が増えるためです。プロの先生や他の生徒の作品を鑑賞すれば、表現の幅が広がるかもしれません。
なお、子どもの作品を見るときはありのままを認め、どのような思いで作成したのか尋ねます。頑張ったところや工夫したところを認めてもらえると、子どもは自信がつき、絵画で表現するのを楽しめるようになります。
3-3.ダンス
ダンスは、全身を使って曲の世界観を表現する習い事です。多くの場合、ダンスはみんなで動きを合わせるため、周囲の人の表現方法を自然に学べます。他人の動きと自分の動きを比較して合わせることで、体を使った表現が洗練されていくでしょう。
ダンス教室に通う際は、月謝に加えて衣装代や遠征費を必要とする場合があります。費用のイメージと実際にかかるお金の相違を防ぐため、大まかな出費を事前に確認することが必要です。
3-4.バレエ
バレエの魅力は、歴史と伝統によって培われた豊かな表現です。バレエは舞台の上で役になりきり、音楽に合わせて役の気持ちや状況を表現します。そのため、身振りや表情などを含めた、豊かな表現方法を身につけるのに有効です。
また、バレエを習う子どもは、発表会などを通じて大勢の人に見られる場面が多くなります。自分の表現が他人の目にどう映っているかを意識するため、表現のバリエーションが豊かになることが期待できます。バレエを習い事にする際は、バレエダンサーを目指す本格的な教室や、趣味として始める初心者向けのカルチャースクールなど、子どもの目的に合った教室を選びましょう。