子どもの姿勢が悪くなっているように映り、何か影響がないか心配になる人は多いのではないでしょうか。子どもの姿勢が悪くなる主な原因は4つあり、現代の生活様式が大きく関係しています。姿勢が悪いと心や身体に悪影響を及ぼすため、早めの姿勢改善に取り組みましょう。
当記事では、子どもの姿勢が悪くなる理由に加えて、姿勢が悪いとどういった影響があるのか解説します。姿勢を正す重要性なども知り、子どもの姿勢に対する理解を深めましょう。
1. 子どもの姿勢が悪くなる!よくある理由4つ
姿勢が悪くなる原因には、子どもを取り巻く現代の生活がかかわっています。子どもの姿勢が悪くなる原因としてよく挙げられる理由は、下記の4つです。
- 子どもの筋力低下
- スマホやパソコンの使用
- 生活リズムの乱れ
- 家庭環境
ここでは、子どもの姿勢が悪くなる理由の詳細を解説します。
1-1. 子どもの筋力低下
子どもの筋力低下は、姿勢が悪くなる原因の1つです。スポーツ庁の子どもの運動能力に関する調査によると、令和元年度以降、子どもの体力が急激に低下
しています。コロナ禍の影響でおうち時間が増えた上に運動時間が減少し、身体を支える筋力が低下したことが理由
として考えられます。
(出典:スポーツ庁「令和3年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果(概要)について」)
腹筋や背筋の筋力が低下すると、身体を正しい姿勢のまま保つことができません。家ではスマホやゲームなどの座り遊びが多く、保育園や学校でも椅子に座る時間が長いため、筋力を使わない生活が続きがちです。運動習慣を意識して取り入れないと、筋力はますます低下する一方でしょう。
1-2. スマホやパソコンの使用
スマホやパソコンの長時間使用は、姿勢の悪さにつながります。椅子とパソコンの高さが合っておらず背骨が曲がったり、猫背になってスマホの画面を見たりして、悪い姿勢がクセになるためです。
また、スマホやパソコンを使用している最中は、前かがみになって首が突き出る「ストレートネック」になる傾向があります。ストレートネックになると首が真っ直ぐになるため、首への負担が大きくなり、痛みが出ることも考えられるでしょう。
スマホやパソコンを使う際はこまめに休憩をはさんで、首や肩回りをストレッチするよう子どもに促しましょう。
1-3. 生活リズムの乱れ
生活リズムの乱れにより、朝早く起きられずに朝食を抜く子どもが増えています。朝食を抜くと、脳のエネルギーが不足して集中力が保てなくなり、勉強がはかどりません。また、集中力の低下によって授業中に頬杖をつくなど、姿勢が悪くなる場合があります。朝食は記憶力にも影響する
ため、しっかりとご飯を食べることが大切です。
(出典:農林水産省「朝ごはんを食べないと?」)
また、生活リズムが乱れて朝起きる時間が遅くなったり、家にこもっていたりすると、太陽光を浴びる機会が不足します。太陽光を浴びずにいると「セロトニン」という幸せホルモンが生成されないため、集中力が低下して姿勢が悪くなることが考えられます。
1-4. 家庭環境
子どもが勉強に集中しづらい環境を作っていると、姿勢に影響が出る可能性が高まります。リビングやダイニングで勉強する場合、テレビやゲーム機などさまざまなものが目に入り、集中しづらくなるでしょう。集中を妨げるものが置いてあると気が散って勉強に身が入らず、姿勢が崩れることにつながりかねません。
子どもが目の届く範囲で勉強していてほしい場合は、リビング・ダイニングに余計なものを置かず、すっきりと片付けましょう。椅子とテーブルの高さも姿勢に影響するため、子どもに適しているのか見直すことも大切です。子ども部屋がある場合は、勉強道具以外は部屋に置かず、1人でも集中できる環境を整えましょう。
2. 子どもの姿勢が悪いとどんな悪影響がある?
子どもの姿勢が悪い状態が続くと、首・肩がこったり腰痛になったりするだけでなく、さまざまな悪影響があります。考えられる悪影響の例は以下の通りです。
自己肯定感が低下する | 身体の変化は感情の変化にも影響すると言われています。姿勢が悪く元気がないように周囲から映ると、本当に気持ちが落ち込むことも考えられるでしょう。 また、姿勢の悪さは周囲から自信ややる気がないように見えてしまい、先生からネガティブな言葉をかけられる場合もあります。周囲からマイナスの言葉を言われると、「自分は悪い子だ」と考えて自己肯定感が低下し、ますます元気がなくなるでしょう。 |
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消化不良が起こる | 姿勢が悪いまま食事をすると、内臓が圧迫されてうまく働かずに消化不良が起こるリスクがあります。胃で食べ物が消化されないと腸にまで影響が及び、下痢や便秘を引き起こしかねません。 また、食べてもすぐにお腹が満たされるため、食べる量が減ることも想定されます。 |
呼吸が浅くなる | 姿勢が悪いと肺が圧迫され、呼吸が浅くなります。浅い呼吸では交感神経が優位になり、十分な休息ができません。血流が悪くなるため肩こりや頭痛が起きたり、免疫力が低下したりします。 |
3. 【STEP別】子どもの姿勢をよくする方法・流れ
子どもの姿勢に関する教育は「姿勢教育」と呼ばれます。子どもの身体は発達の途中で、骨格形成に大きな影響を及ぼすため、姿勢教育は子どもが小さいうちから始めましょう。ここでは、子どもの姿勢をよくする方法と流れについて紹介します。子どもの姿勢をよくする具体的な方法が知りたい場合は、ぜひ参考にしてください。
3-1. 【STEP1】姿勢を正す重要性・メリットを伝える
子どもの姿勢をよくするためには、子ども本人が姿勢について意識する必要があります。姿勢を正す重要性・メリットを親が把握し、子どもに分かりやすく伝えることがポイントです。
姿勢を正すメリットについて、3つの観点から紹介します。
・勉強編
姿勢がよいと脳が疲れにくくなり、集中力が増します。スムーズに思考が働いて記憶力もアップするため、勉強がはかどるでしょう。子どもには姿勢をよくすることで「勉強が得意になる」など、ポジティブな内容を伝えることがおすすめです。
・スポーツ編
正しい姿勢を維持すると目線が水平に保たれるため、ものがよく見えて判断力がアップします。判断力が増すと適切なタイミングで身体を動かすことができ、運動神経がよくなるでしょう。「ドッジボールが強くなる」など、子どもが実際に行っているスポーツを引き合いに出すと、関心を引きやすくなります。
・食事編
正しい姿勢で食事をすると、内臓がスムーズに動き消化吸収がよくなったり、歯並びがよくなったりします。「身長が伸びやすくなる」「歯並びがよくなって笑顔がすてきになる」など、姿勢を正したくなる理由を添えて伝えましょう。
3-2. 【STEP2】正しい姿勢の手本を親が見せる
子どもに正しい姿勢を教えるためには、親が手本を見せましょう。正しい姿勢の手本を見せるときは、下記の3点を意識してください。
- ひじ、ひざ、腰の3つの⾓度が90度になるように座る
- ⾜の裏全体を床につける
- あごを引いて、背もたれには寄りかからないようにする
手本を見せたら、今度は子どもに座ってもらい、座り姿勢を横からチェックしてください。その際、椅子や机の高さが合っているかも確認しましょう。かかとが床についていないときは、足台を使用して高さを調整してください。
3-3. 【STEP3】姿勢がよくなる方法を実践する
正しい姿勢が分かったら、姿勢がよくなる方法を実践しましょう。姿勢がよくなる方法の主な例は以下の3つです。
・姿勢を補助する道具を使う
骨盤を支えるクッションや、背中が伸びる椅子などを使用すると、座るときに正しい姿勢をラクに保つことが可能です。また、姿勢矯正ベルトを使用すれば猫背を防ぐことができます。
・体幹を鍛える
体幹を鍛えたい場合は、バランスボールで転がらないように座るトレーニングをするとよいでしょう。ボールにうまく座るためにはインナーマッスルを鍛える必要があり、トレーニングを続けると正しい姿勢を維持する筋力がつきます。
・腹式呼吸をする
腹式呼吸をすると、自然と正しい姿勢をキープできるようになります。鼻から深く息を吸い、ゆっくりと時間をかけて口から吐くことを意識しましょう。