子どもは5歳前後からひらがなを覚え始めると言われています。また、ひらがなを読むことと書くことでは、習得する時期にずれがあるのが一般的です。子どものお喋りがだんだんと増え、幼稚園への入園の時期が近づいてくるタイミングで、「いつから子どもにひらがなを教え始めたらいいのだろう」と迷う親は多くいます。
この記事では「子どもにひらがなを教える時期」についてまとめました。ぜひ、家庭でのひらがな学習の参考にしてください。
1. 子どもはいつからひらがなを読める?
日本では小学校に入学すると国語の授業でひらがなや漢字を学びますが、就学前にひらがなを読んだり書いたりする子どももいます。子どもによって発達の年齢にばらつきがあるとはいえ、わが子よりも小さい子どもがひらがなを書く広告や体験談などを目にして、不安になる親も多いことでしょう。
文部科学省が行った幼児教育についての調査では、以下のような結果が出ています。
文字・数・思考の育ち(年少児~年長児・学年別・子どもの性別)(%)
年少児 年中児 年長児 男子
(695)
女子
(669)
男子
(594)
女子
(627)
男子
(543)
女子
(580)
自分の名前を読める 79.1 87.7 95.5 98.1 97.9 99.1 かな文字を読める 58.4 70.0 81.9 89.7 92.1 97.7 自分の名前をひらがなで書ける 31.8 59.6 77.4 94.1 96.5 98.8
一般的に子どもが「かな文字を読める」年齢は女の子の方が男の子よりも早い傾向です。また、年中児(4~5歳)になると男女ともに80%以上、年長児では90%以上となります。したがって、多くの子どもは5歳前後を目安に、ひらがなを読むことができるようになると言えます。
1-1. ひらがなを書ける年齢は5歳前後が基本
文部科学省の資料では、「自分の名前をひらがなで書ける」子どもは年中児の男子が77.4%、女子は94.1%となっています。
多くの子どもが年中児ぐらいになると、徐々にひらがなを書き始めることが分かります。
1-2. ひらがなを読み書きできる年齢には「個人差」がある
子どもの成長には大きな個人差があり、ひらがなの読み書きに興味を持つ時期も子どもによって違います。そのため、「ひらがなの習得が遅れている」と過度に心配する必要はありません。
子どもが読み書きを覚えるには、読み書きが楽しいと印象付けることが重要です。興味を持たないうちから子どもにひらがなを無理やり教えようとすると、逆効果となることもあります。まずは、子どもが親とのコミュニケーションを楽しいと思ったり、周囲の言葉に興味を持ったりするきっかけを作ることが大切です。
2. ひらがなを教えるタイミングはいつから?
子どもにとってひらがなを教える適切な時期は、「子どもがひらがなに興味を持ったとき」です。子どもはさまざまな遊びや体験を通して、ひらがなに興味をもつようになります。
そのためにはまず、親は子どもがひらがなに興味を持つための工夫をして、ひらがなを読み書きできるようになるための環境を整えてあげることが必要です。
2-1. 子どもがひらがなに興味を持ちやすくなる方法3選!
子どもがひらがなに興味を持つようになるために、おすすめの方法を3つ紹介します。何から始めたらよいか迷ったときの参考にしてください。
絵本を読み聞かせる | 親と一緒に読むことで、子どもの読める文字を増やします。 |
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手紙のやり取りをする | ひらがなで誰かに想いを伝えることに好奇心を持つきっかけとなります。 |
いつも見る場所にひらがな表を貼る | お風呂などいつも目にする場所に貼ると、ひらがなを無意識に覚えることができます。 |
3. 親が子どもにひらがなを教えるときのコツ・注意点!
子どもは「ひらがなを覚えるのが楽しい!」と感じることをきっかけにひらがなに興味をもち始め、親と一緒に読んだり書いたりするうちに、楽しみながら覚えます。そのためには親も、子どもと一緒に楽しみながら学ぶことが重要です。
子どもがなかなかひらがなを覚えない場合に、親が焦って必要以上に手助けをしてしまうと、子どもに芽生えた興味を奪う恐れがあります。ひらがなを教える際は、次のコツ・注意点を把握した上で実践しましょう。
3-1. 【コツ】流れに沿って教える
子どもには「書く力」よりも先に「読む力」が芽生えるため、ひらがなを学習するときにはまず「読む」ことから始めてみましょう。また、子どもが楽しくないと感じてやる気をなくしてしまわないように、子どもに「ひらがなを楽しませること」が重要なポイントです。
たとえば壁に貼ってあるひらがなのポスターや、文字の書かれた積み木などの知育玩具のひらがなを読みながら遊ぶと、楽しみながら文字を覚えることができるでしょう。また、普段読み聞かせている絵本があれば、お子さんが興味を持った文を一緒に読んでみると、ひらがなを読むことに少しずつ親しみを持つようになります。
さらに、「できた!」と達成感を覚える瞬間が子どもの成長につながるため、今できることよりも少しだけ難しい読み書きにチャレンジさせるのも効果的です。ただし、一気に難易度の高いことを教えようとすると意欲を失う恐れもあるため、子どもの様子をよく見ながら学習を進めましょう。
3-2. 【コツ】子どものペースに親が合わせる
親が焦ってたくさんのことを一気に教えようとしても、子どもは期待通りに覚えてくれるわけではありません。反対に、過度な練習は子どものモチベーションを下げてしまう原因にもなります。あくまで遊びの一環として、楽しみながらひらがな学習に取り組むことが大切です。
子どもがやる気をなくしているときは決して無理強いをせず、ひらがな学習を楽しむ環境を作ることを心がけ、子どもがやる気になるのを根気よく待ちましょう。
3-3. 【注意点】筆圧の濃い鉛筆を用意する
子どもがひらがなを書くときは、筆圧を必要としないもので練習をさせることが大切です。濃い鉛筆・水性ペン・クレヨンなど、筆圧が弱い子どもでも無理なく文字が書ける筆記具を選びましょう。鉛筆の正しい持ち方を教えることも重要ですが、文字を覚える目的を優先する場合は、指でなぞり書きをしたり、握って使うクレヨンなどを利用したりすることもおすすめです。
なお、練習の際は、子どもが興味を持つようなかわいい運筆練習の無料プリントや、簡単な線のなぞり書きなどのワークを使うこともおすすめです。段階的に運筆の練習をさせると、抵抗なく文字を書く練習を進めることができます。
3-4. 【注意点】間違いを指摘しない
子どもはほめられるとやる気を出しますが、叱られてばかりいるとやる気をなくしてしまいます。頑張って書いた文字をたくさん修正されると、練習が嫌になるだけでなく、失敗を恐れるきっかけとなります。
「間違いを注意する」のではなく、「うまくいったところをほめる」ことが大切です。また、失敗しそうな箇所を先回りして指摘することも避けましょう。
3-5. 【注意点】消しゴムを使わない
子どもはまだ手の力が弱いため、筆圧の濃い鉛筆などを使って書いた線を、消しゴムできれいに消すことができません。
紙を押さえる反対側の手の力も弱く、紙が汚くなってしまったり、紙が折れたりしてしまうこともあるでしょう。紙が汚くなるとがっかりしてやる気をなくしてしまったり、書くこと自体が嫌になったりする場合もあります。子どもが字を間違ったときは、新しいページや枠に書かせるようにしましょう。