6歳という年齢は、幼児期から学童期に移る時期です。6歳の子どもを持つ人のなかには、子どもとの接し方に悩んでいる人も少なくありません。
6歳児との接し方や子育てにおいて意識すべきポイントを知るためには、6歳児の心身の平均的な発達状況を理解しておくことが大切です。
本記事では、「6歳児の身体的発達状況・知的発達状況」「6歳児が身につけておきたい生活習慣」について解説します。子どもの発達と成長を促す接し方のポイントにも触れるため、ぜひ参考にしてください。
1.【6歳児】身体的な発達・成長の状況
6歳児は、身体的な発達・成長が著しいことが特徴です。そばで成長を見守ってきた親にとって、子どもの発達や成長を実感しやすい時期といえます。
小学校に入学すると、一人での登下校が必要となったり体育の授業が始まったりするため、身体的な発達・成長が重要となります。また、これまで幼稚園や保育園で過ごしてきた以上に長い時間を両親と離れて生活することとなるため、子どもにとって変化が大きい時期です。
ここでは、6歳の子どもに関する身体的な発達と成長の状況について、「身長・体重」「運動能力」に分けて解説します。
1-1.6歳児の身長・体重
6歳の子どもにおける身長・体重の平均的な発達状況は、下記の通りです。
■6歳児の平均身長・体重
男子 女子 身長(cm) 114.9 113.7 体重(kg) 20.05 19.66
出典:厚生労働省「乳幼児身体発育調査(平成22年):II 調査結果の概要」
子どもの身長・体重を同年代の子どもと比べる場合、「SDスコア」「ローレル指数」を参考にします。それぞれの計算式・評価基準は、下記の通りです。
SDスコア | |
---|---|
計算式 | (身長-標準身長)÷標準偏差 |
評価基準 | -2.0以下:低身長 |
ローレル指数 | |
---|---|
計算式 | 体重÷(身長×身長×身長)×10,000,000 |
評価基準 | 100未満:やせすぎ 100~115未満:やせぎみ 115~145未満:普通 145~160未満:太りぎみ 160以上:太り過ぎ |
子どもの成長には個人差があるため、平均を下回るからといってネガティブに捉える必要はありません。ただし、SDスコアが-2.0より低い場合は、低身長の可能性があるため専門病院や小児科へ相談しましょう。
1-2.6歳児の運動能力
6歳児の運動能力の平均的な目安は、下記の通りです。
【運動能力】6歳の子どもができること
- ボールを「投げる」「両手で受け取る」ことができる
- 両足飛びやジグザグ走りができる
- 自転車に補助なしで乗ることができる
- お手本に合わせて体操や動作ができる
- 体支持を60秒程度できる
6歳児は、「道具を使った動き」「体を移動させる動き」「バランス感覚が必要となる動き」などを行うことができます。できることが増え、幼児期に比べて体を上手く使えるようになる子どもがほとんどです。
2.【6歳児】知的・精神的な発達・成長の状況
小学校入学を控えた6歳の子どもは、身体的な発達・成長だけではなく知的・精神的な発達・成長も大きい時期といえます。人間関係や言語能力にも、変化が見られることが特徴です。
ここでは、6歳の子どもに関する知的・精神的な発達の状況について項目別に詳しく解説します。
2-1.6歳児の社会性・人間関係
6歳の子どもに見られる社会性・人間関係における特徴は、下記の通りです。
【社会性・人間関係】6歳の子どもができること
- 相手や場所に合わせて話し方や内容を変えることができる
- 公共の場のマナーや善悪を意識した行動ができる
- 役割やルールを決めた遊びが多くなる
- 友だちと協力して問題を解決しようとする
多くの6歳児は、保育者や友だちと過ごすなかで、自分と周囲の人との違いに気づき始めます。相手を尊重したり自分を表現したりするなど、友だちと一緒に何かに取り組むことも多くなる時期です。
また、親よりも友だちを優先したい気持ちが強くなる場合もあります。
2-2.6歳児の言語能力
6歳の子どもに見られる言語能力における特徴は、下記の通りです。
【言語能力】6歳の子どもができること
- 名前や年齢を聞かれて「はい」「です・ます」で答えられる
- 相手の目を見て会話ができる
- 「明るい・暗い」などの反対語を理解できる
- 自分の名前を書ける
- ひらがなを読める
6歳という年齢では、質問に対する受け答えやスムーズな会話ができる子どもが多く見られます。
ひらがなの読み書きは、小学校で学ぶ内容です。ただし、ひらがなの読み方は入学前に理解している子どもが多い傾向にあります。
2-3.6歳児の数字の理解
6歳の子どもに見られる数字の理解における特徴は、下記の通りです。
【数字の理解】6歳の子どもができること
- 数字の読み書きができる
- 1~10まで正確に数を数えられる
- 「全部でいくつ」「1つ少ないと何個」など簡単な足し引きができる
6歳児のなかには、「1~20まで正確に数えられる」「2等分ができる」という子どももいます。知的好奇心が高い子どものほうが、文字や数字の理解がスムーズです。
文字と同様に、数字も小学校で学びます。ただし、数字の読み方は理解している前提で学習が始まるため、就学前にある程度の理解は必要です。
3.6歳で身につけておきたい生活習慣
小学校生活では、自分のことは自分で行うことが基本となります。6歳で身につけておきたい生活習慣は、下記の通りです。
【生活習慣】6歳の子どもが身につけておきたいこと
- 生活時間を整える
- 一人で身支度を行う
- 脱いだ服をたたむ、靴をそろえる
- 公共の場では静かに過ごす
- 食事の挨拶ができる
- 食事が終わるまで席に座っていられる
規則正しい生活習慣を身につけるためには、就寝時間・起床時間・食事の時間などの生活リズムを整えることが大切です。
身支度や持ち物の管理は、6歳以降も親の声かけやサポートが必要となる場合もあります。やり方を教えつつ、慣れてきたら子どもに任せて親が最終チェックを行うようにしましょう。
公共の場や食事の場におけるマナーは、家庭でも繰り返し教えていく必要があります。「端的に理由を伝える」「短く叱る」など、工夫しながら取り組みましょう。
4.子どもの発達・成長を考えた接し方のポイント
6歳児の期間は、目標に向けて行動を起こす「自主性」が育つ大切な時期です。子どもの発達・成長には、親の接し方が大きく影響します。
子どもの発達状況を考えた接し方のポイントは、下記の3つです。
(1)体験・遊びを大切にする
子どもは、体験や遊びを通じて思考力や判断力を養います。子どもの自主性や自己肯定感を高めるためにも、やりたいことや興味関心があることにチャレンジできる機会を作りましょう。家族以外の人たちと接する機会を作ることもおすすめです。思考力・想像力・判断力・認識力が向上することで、人間関係にもプラスの影響が期待できます。
(2)子どもの意見を聞く
子どもの発達・成長を高めるためには、子どもの意見に耳を傾けて否定せずに共感することが大切です。親がこれまでの経験から得た知識をもとに口を出し過ぎると、子どもは否定されたと感じる場合があるため注意しましょう。自主性や自分でゴールまでのプロセスを考えて行動する「主体性」を身につけるためには、自分の考えを伝えやすい環境を作ることがポイントです。
(3)子どもと一緒に考える
子どもの「知りたい」という気持ちに寄り添いながら一緒に考えることで、問題や課題に対して自分なりに考えて答えを導き出す習慣が身につきます。もちろん、子どもと親の考えが一致するとは限りません。さまざまな考えや解決方法があることを親子で話し合い、自分で考えたプロセスをほめてあげましょう。