「受験」で見られるもののイメージは、学力だという人が多いでしょう。
しかし、小学校のお受験で行われる試験は、学力テストのほか運動やふだんの行動など、
多種多様であることが特徴です。
こうしたものの中には、ふだんの親の教育方針が自然と表われるもの。
小学校のお受験で行われている試験についてご紹介します。
目次
(1)ペーパーテストや口頭試験など学習系
まず、行われるのは「お勉強」の試験です。
試験用紙が配られ、鉛筆やクーピーを使って絵を描いたり丸印をつけたりして回答します。問題は活字ではなく口頭やテープで読みあげられるという点が特徴です。
幼稚園・保育園の年長児には文字が読める子供もいますが、問題は読めない前提で作られています。
そのため、問題に回答できる力だけではなく、問題を聞き漏らさない注意力・集中力が重要です。主な問題内容は、以下の通りになります。
・記憶力
物語が読まれ、その後に問題が読み上げられます。
内容は登場人物の着ていた服装の色など、話の筋ではない部分にまで触れることもあるでしょう。
学校によっては、相当長い物語を出題するケースもあるため、集中力と記憶力が必要です。
・図形
小学校のお受験でもっとも多く出題される問題です。
「図形を回転させたらどうなるか」など、さまざまな内容が出題されています。
・数
計算ではなく、「数がいくつあるか」「どちらが多いか」といった問題が出題されます。
・常識
季節・動物・植物・昔話の内容といった一般常識とされている内容が出題されます。
・言語
しりとりや、動植物の名称の知識などが問われます。
・口頭試験
ペーパー試験のほか、個別で口頭試験が行われる小学校もあります。
絵のカードを複数枚見せられ、その絵が出てくる物語を作るほか、質疑応答が一人ひとりに対して行われます。
(2)飛んだり、走ったり、実際に身体を動かす運動系
子供の運動能力をチェックする試験も多くの小学校で実施されています。
運動神経の優劣を見るというより、身体の健康状態や運動力を見るために行っているところが多い傾向です。
かけっこをはじめ、縄跳びやマット、ボール投げや鉄棒、平均台など、幼稚園や保育園の運動遊びで日々行われていることが試験内容の基本です。
「ふだんから身体を使って遊んでいるかどうか」がチェックされると考えておけば良いでしょう。
しかし、小学校によっては特殊な問題が課されるところもあるため、注意が必要です。
特殊な問題を出す学校で有名なところは、慶應幼稚舎の「サーキット運動」、筑波大学附属小学校の「クマ歩き」などがあります。
サーキット運動は、コース上にさまざまな運動メニューが設けられ、一度に進みながら行っていくものです。
クマ歩きは、四つん這いになった状態で手足を曲げずに進んでいきます。
「歩き」とありますが、筑波大学附属小学校ではその状態で走りタイムを計る内容です。
こうした特殊なメニューを運動試験に加えているところでは、事前に家庭などで練習しておく必要があるでしょう。
試験内容は小学校ごとに特色があるため、「志望校の運動試験に特殊なものがないかどうか」について事前にリサーチしておくことが大切です。
なお、小学校によっては、個人だけではなくボール遊びや玉入れのように、グループで競う形式で試験が行われることもあります。
(3)グループ遊びなど、その子の特性を見る行動観察
最近では、もっとも重要視される試験項目になっているものが、行動観察です。
グループで何かゲームやミッションを行い、その様子を観察することで子供の性格や協調性、個性をチェックすることが目的とされています。
コミュニケーション能力や周囲への気配り、リーダーシップなど、チェックされる項目はさまざまです。
その場でどう考えて動くのかといった意味で、思考力や判断力も観察することができます。
どの力を重要視するのかは、小学校によって異なりますが、共通して重要視されているのは、やはり協調性です。
行動観察は試験のためだけに対策できるものではありません。
家庭・幼稚園・保育園で「これまでどのようにしつけられてきたのか」「どう過ごしてきたのか」が如実に表れるものです。
そのため、付け焼き刃で対応することは困難だと考えておきましょう。
また、その場での行動はもちろん、基本的なあいさつやお友達への言葉使い、態度といった生活習慣に関する面もチェックされています。
行動観察で見られる点は、小学校受験のためではなくても大切なものばかりです。
受験対策のためと気張らず、ふだんの生活の中で自然と身につけられるよう、意識して子供と接するようにしておきたいものですね。
(4)他にも絵画や制作などさまざまな試験が行われる
学習系・運動系・行動観察のほかにも、小学校によってさまざまな試験が行われています。
なかには、それぞれの試験に含む形でチェックされているものもありますよ。
・指示行動
先生の指示に従って動けるかどうかをチェックする試験です。
聴く力と理解力がチェックされます。
運動試験の中に含まれていることが多い項目です。
・巧緻性
手先の器用さをチェックする試験になります。
紙をちぎったり、ひもや糸を穴に通したりするといった工作的なものから、服をたたむといった生活面に即したものまで内容はさまざまです。
「自分のことは自分でやれること」を見る意味合いもあります。
家庭でのしつけがチェックされる項目のひとつですね。
行動観察に含んで行われる小学校もあります。
・絵画
ここ数年、高いウェイトを占めている小学校が増えているとされているのが、絵画試験です。
自由に描かせるものと、お題に沿ったものを描かせるものとの2パターンがあります。
お題式の場合は、動物の足の数や体の造形など、常識に沿って忠実に描けることが必要です。
自由絵画の場合は、のびのびとカラフルな絵が描ければOKとする小学校が多い傾向といえます。
・制作
巧緻性とセットで見られることもあります。
先生がお手本を見せ、その手順に沿って作るものや、与えられた素材を使ってお題に合ったものを自由に作るものなど、問題内容はさまざまです。
行動観察とセットにされ、グループでの制作が試験内容になっているところもあります。
入学試験では試験官はどのような部分を見ているのか
小学校のお受験は、学力試験や面接だけではなく、さまざまな内容が行われます。
こうした試験内容を通じて、試験官は「子供」本人の個性や生活習慣をトータルでチェックしています。
学力テストの結果や面接といったかしこまった場では見られない点にも注意しておきましょう。
子供本人がこれまでに身につけてきた習慣や、しつけられてきた内容を見ることで、その小学校に通学するにふさわしいかどうかが判断されるのです。
これらは、子供を通じて親のふだんのしつけや家庭環境が見られているといっても過言ではないでしょう。
生活習慣や態度は一朝一夕で身につけられるものではありません。
生まれてからこれまで、親が子供とどう接してきたのかどうかが判断される場になります。
そのため、もしお受験を考えているのであれば、できるだけ早くこうした試験内容を頭に入れておきたいところです。
特に、最近の家庭では受験準備に熱が入るあまり、家のことを子供に一切やらせないというケースも多く見られます。
しかし、試験では「自分のことを自分でやれるところ」もチェック項目になるため、お受験を考えるなら、むしろ積極的に家事にも関わらせるべきなのですね。
付け焼き刃では対応しきれない試験項目も多いのが小学校のお受験です。
志望校が定まる前から対応できる生活習慣や態度などは、早めに身につけられるよう準備していきましょう。
まとめ
試験への対策はもちろんのこと、身だしなみも試験の中で大切なチェックポイントです。
靴の脱ぎ履きをはじめ、子供が自分で脱ぎ着できる清潔感のある服装を選びましょう。
また、服装は親側も見られているものです。
ささいなところで減点ポイントとなってしまわないよう専門店を利用するなどして、万全の備えでお受験当日を迎えましょう。
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