子どもの勉強に予習と復習が重要と見聞きしたものの、どのように取り組めばよいか分からないという保護者も多いのではないでしょうか。子どもに学習習慣を身に付けさせ、自ら進んで勉強できるようにするためには、予習と復習のやり方を正しく理解することが重要です。
この記事では、予習と復習のメリットや効率的に行うポイント、学習時間の理想的な配分などについて解説します。未就学児や小学校低学年の子どもを持つ保護者は、ぜひ参考にしてください。
1.予習とは?復習との違い
予習とは、幼稚園や小学校で習う内容を予め学習しておくことです。幼稚園児や未就学児が予習する内容には、数字や文字の読み書きや、簡単な計算などが含まれます。
予習の目的は、幼稚園や小学校で習う内容を事前にある程度理解しておくことです。予習と復習はいずれも勉強ではあるものの、目的が異なります。復習の目的は、習った内容を定着させ、使いこなせるようになることです。
ここでは、幼稚園児や未就学児が予習に取り組むメリットや、効率的に予習をするポイントについて解説します。
1-1.幼稚園児や未就学児が予習をするメリット・効果
予習をすることで得られるメリットや効果は、以下の4点です。
- 不安を解消できる
一般的に、人は未知のものごとに対して不安を感じる傾向があります。予習に取り組んでおくと、幼稚園や小学校で習う内容が分かるため、幼稚園児や未就学児の不安を和らげることが可能です。 - 授業の内容に集中できる
予習をすると、幼稚園や小学校で習う内容の中で分からないポイントを事前に把握できます。疑問点を明らかにすることで授業途中につまずいたりすることなく、最後まで集中して授業を受けられるようになることが予習のメリットです。 - 挙手や発言ができ、自信につながる
幼稚園や小学校では、先生の質問に対して挙手や発言をする機会があります。予習をしておくと先生の質問に答えやすくなり、うまく答えられたことで自信をつけることにもつながるでしょう。 - 復習の時間が短縮できる
予習により授業に集中できると、復習にかかる時間が短く済みます。家庭学習を効率よく進められることが、予習で得られる効果です。
1-2.予習を効率的にするポイント
幼稚園児や未就学児が予習を効率的にするポイントは、以下の3点です。
・必要以上に時間をかけない
予習の段階では、学習する内容を完全に理解しておく必要はありません。予習に時間をかけすぎてしまうと、子どもが負担を感じ勉強に苦手意識を持ってしまうこともあります。週1回など、予習にかける時間を必要最小限にすることがポイントです。
・分からない点にチェックをつけておく
予習をしたときに分からなかった単元は、鉛筆などでチェックをつけておきましょう。チェックをつけておくと、授業で重点的に聞いておくべきポイントが分かりやすくなります。
ただし、幼稚園や小学校によっては、事前の書き込みが禁止されていることもあります。その場合は、ノートに分からないことをまとめておくなど、ルールに合わせて対応しましょう。
・前に習った内容を振り返っておく
学年が上がるにつれて、学習内容に以前習った内容が再び出てきたり、応用して使ったりするケースもあります。前に習った内容で曖昧な部分が見つかったら、予習時に振り返っておくことが大切です。
2.復習とは?2つの種類も紹介
復習とは、幼稚園や小学校の授業などで習った内容を振り返り、定着させるための学習です。復習には大きく分けて、インプット型復習とアウトプット型復習の2種類があります。
インプット型復習は、覚えるべき知識を記憶するための勉強法です。インプット型復習の例として、以下のような勉強内容が挙げられます。
- 数字や文字を繰り返し書いて覚える
- 教科書などに書いてある内容を音読する
- 算数の計算方法を理解する
一方、アウトプット型復習は、覚えた知識を使って問題を解けるようにするための復習です。アウトプット型復習には、以下のような学習方法が含まれます。
- 時計の読み方を教えた後に、さまざまな時間帯で今が何時かを問う
- 教科書やドリルの問題をたくさん解く
- 幼稚園や小学校で習ったことを保護者に説明する
復習をする時は、2種類にバランスよく取り組むことが重要です。
2-1.復習の必要性と取り組むメリット・効果
復習が必要な理由として、人は一度学んだ内容を時間とともに忘れてしまうことが挙げられます。
ドイツの心理学者であるエビングハウスは、人の記憶力について『エビングハウスの忘却曲線』と呼ばれる研究結果を発表しました。研究結果によると人が記憶した内容は、1日経つと約7割忘れてしまうとされています。もちろん個人差はあるものの、時間がたつほど覚えた内容は失われていくため、勉強した内容を記憶に定着させるためには復習が大切です。
復習に取り組むメリットや効果には、以下の3点があります。
- 理解できていないポイントが分かる
予習と授業だけでは、習った内容がどの程度理解できているかのチェックができません。復習をして習った内容を振り返ることで、理解できていないポイントが明らかになります。 - 解ける問題が増える
復習をすることで、自分の力で解ける問題を増やすことができます。授業を受けた時に理解できなかった内容も、自分のペースで訓練することで苦手な分野の克服にもつながるでしょう。 - 子どものやる気が高まる
勉強の成果がテストなどの点数に現れると、子どものやる気が高まることが復習をするメリットです。やる気が高まると復習が習慣化し、好循環が生まれるでしょう。
2-2.復習を効率的にするポイント
復習を効率的に行うためのポイントは、以下の3点です。
・タイミングを決めて定期的に復習する
幼稚園や小学校で習った内容を、どのタイミングで振り返るか決めておくと、効率的に復習できます。習った当日と1週間後、1か月後の3回復習するなど、間隔を置くことでより記憶の定着率が上がります。学習計画を決めて定期的に覚えているかのチェックをしましょう。
・学んだ内容を思い出す
単に教科書や参考書を見直すだけでなく、学んだ内容を思い出し、理解できているかの確認をしましょう。覚えた漢字を何も見ずにノートに書いてみる、保護者が口頭で問題を出して確認してみるなどの復習方法がおすすめです。また、学んだ内容を人に教えることも、何が理解できていないかの把握につながります。
・意味やストーリーを交えて学ぶ
知識をそのまま暗記するよりも、意味やストーリーを交えて学ぶと効率的に覚えられる傾向があります。例えば、3時を指す時計の形とおやつのイメージを関連づける、足し算はお菓子やぬいぐるみなどを使って教えるなどの工夫をしましょう。
3.幼稚園児や未就学児のどちらにも予習・復習は重要!
幼稚園児や未就学児が学習内容を身に付けるためには、予習復習の両方が重要です。予習と復習では役割が異なり、両方をバランスよく取り組むことで学習効果が高まります。
予習をするだけでは、知識を十分に定着させることができません。また、復習のみでは授業中につまずいてしまう可能性があります。
3-1.インプットとアウトプットの比率は「3:7」が理想
予習と復習に取り組む上では、知識を覚えるインプットと、覚えた知識を使うアウトプットを3:7の比率にすることが理想的です。
ただし、それぞれに割く時間を厳密に3:7に配分する必要はありません。3:7という数値はあくまでも目安で、インプットを短時間で済ませ、より多くの時間をアウトプットに充てることがポイントです。
問題を解いたり、学んだ内容を思い出したりする対策を通じてのみ、弱点が明確になります。インプットに時間をかけすぎてしまうと、弱点が分からないまま授業が先に進んでしまうため、時間配分に注意が必要です。
早めにアウトプットに取り組み弱点を明確にした上で、必要な部分を反復練習でインプットするという流れで予習と復習を進めましょう。