子どもの自発性を育てよう!理想的な関わり方とNGな関わり方の違い

子どもの自発性を育てよう!理想的な関わり方とNGな関わり方の違い

物事の考え方や進め方が受動的で、誰かの指示がなければ行動できない「指示待ち人間」とよばれる人は、どの世代でも一定数存在します。しかし、「生きる力」が重視される現代において、自発性がなく自分で考えて行動できないことは、子ども自身の進路や可能性を狭めてしまうことにもなりかねません。

当記事では、「自発性」の定義とともに、子どもの自発性を育てるための理想的な親の関わり方を紹介します。自発性を育むことの妨げとなる保護者の関わり方も併せて確認し、子ども自身が自分で考えて行動できるような子育て方法・教育方法を取り入れましょう。

1. そもそも「自発性」とは?似た言葉との違い

自発性のある子どもに育てるためには、まず「自発性」という言葉の意味を確実に理解することが大切です。よく似た言葉である「主体性」「自主性」との違いも含めて、「自発性」という言葉に対する理解を深めましょう。

■「自発性」「主体性」「自主性」の意味

自発性自分が取り組みたいことを自分で考えて実行しようとする性質・気質
主体性自分の考えや判断・意見に基づいて行動しようとする性質・気質
自主性自分が取り組むべき行動を、他の人に言われる前に率先して実行しようとする性質・気質

出典:精選版 日本国語大辞典「自発性」

出典:精選版 日本国語大辞典「主体性」

出典:精選版 日本国語大辞典「自主性」

「自分の部屋を掃除する」という行動を例に考えてみましょう。「自発性がある」とは、他人から言われなくても、自ら掃除をしようと思いつき実行することを指します。どのようにすれば「自分の部屋の掃除」という行動ができるか、掃除方法などを自分で考えて行動することは「主体性がある」と言えるでしょう。

一方、「自主性がある」とは、すでに決まっている「自分の部屋の掃除」という行動について、他の人に言われる前に実行することを言います。このように、「自発性」「主体性」「自主性」の意味は少しずつ異なりますが、いずれも「自分で考えて行動する」という点は共通していると言えるでしょう。

2. 子どもの自発性が育つ!理想的な親の関わり方4つ

自分で考えて自然に行動に移すことができる「自発性」を育てるためには、子どもがモチベーションをもって行動に取り組めるような「動機づけ」が重要となります。

特に、ある活動に対して「楽しい」「好き」という気持ちをもって取り組める「内的動機づけ」は非常に重要です。親は、子ども自ら内的動機づけができるよう、きっかけ作りや習慣づけをサポートする必要があるでしょう。

ここでは、子どもの自発性が育つ理想的な親の関わり方を紹介します。子どもの自発性を養うきっかけ作りや習慣づけをパパやママが積極的に行い、内的動機づけを自然とできるような子どもに育てましょう。

2-1. 自分で考えて行動させる

子どもの自発性を育むためには、育児の中で子ども自身が自分で考えたり選択したりする機会を多く設けることが大切です。幼児期の子どもであれば「複数のおやつから子どもに1つ選ばせる」「おもちゃの使い方を考えさせる」など、取り組みやすいことから自分で考える習慣をつけましょう。

小学生であれば、旅行などの計画を子どもに立てさせることもおすすめです。旅行の行き先や観光地、食事する場所、移動手段など、時間の管理を含めて子どもに考えさせてみましょう。親はなるべく口出しをしないよう見守り、子どもの計画が完成したら必ず実行するようにしてください。

2-2. 子どもの考えを聞く

子どもの話や考えをじっくり聞いてあげることも、子どもの自発性を効果的に育てるポイントと言えます。子どもは、自分に起こった出来事を親に好きなだけ話すことで、その出来事に対する自分の考えや感情を整理することができます。自分の考えや感情を整理できれば、自身の経験として吸収し、今後の行動を考える材料として活用できるようになるでしょう。

また、子どもに何かを質問・相談することも効果的です。子どもはもっている知識を総動員して、自分なりの考えを導き出そうとするでしょう。自分がもつ知識をもとに思考し、解答を導き出そうとすることも、物事に興味・関心をもって自主的に行動するために重要な経験です。

2-3. 子どもの個性を尊重する

子どもが自分の考えをもとに伸び伸びと行動できるようになるためには、親が子どもの個性を尊重し、興味・関心を肯定することも重要です。日本では協調性が重視される傾向がありますが、個性や興味を抑えて「他人に合わせること」だけを意識していると、自発性はうまく育たないでしょう。子どもの個性・興味を否定するような言動は厳禁です。

親が子どもの個性や興味・関心を肯定し尊重することで、物事に対する子ども自身のモチベーションも向上します。個性を伸ばし、興味が広がるような声かけ・働きかけも工夫して行うようにしましょう。

2-4. 親が行動で見せる

自発的に行動できる子どもに育てるためには、親が自分で考えて一生懸命に物事に取り組んでいる姿を見せることが大切です。

たとえば「夕食の準備」には、使用する材料の検討や調達、献立作成、調理、食器の用意や配膳などのプロセスがあります。それぞれのプロセスを考えながら行動している様子を見せるだけでも、子どもの好奇心が刺激され、おままごとなどの遊び(模倣行動)や手伝いにつながっていくでしょう。

このように、親が何かに一生懸命に取り組む姿を見せることで、子どもも自分のやるべきことや役割について自発的に学び、考えるようになります。子どもに何かをさせようと働きかける前に、まずは家庭において親が実践する姿を見せるようにしましょう。

3. こんな関わり方はNG!自発性のある子どもに育たない関わり方

近年では少子化・グローバル化が進み、「自分で考えること」「自発性があること」が重視されるようになり、「指示待ち」では現代社会で活躍することが難しくなってきました。子どもの自発性が育つかどうかは、親の関わり方に大きく影響を受けます。親の関わり方次第では、子どもが「指示待ち人間」に育つ可能性があることも理解しておきましょう。

ここでは、子どもの自発性を育てたい親が避けるべき関わり方を紹介します。自発性の育成を妨げる言動・行動を避け、子どもが伸び伸びと自発性を養っていける環境を整えましょう。

3-1. 指示・命令をする

子どもを育てていると「○○しなさい」という声かけをしてしまうことも少なくありません。しかし、親の指示や命令で子どもを行動させようとすることは、子どもが自分自身で考えて行動する機会を奪うことになります。子どもの行動の目的や動機づけも「親に怒られないようにするため」になるので、自発性を育む環境としては好ましくありません。

子どもの自発性を育てるためには、子どもが自ら意欲的に考えて行動する機会を多く設けることが大切です。「やるべきこと」「やるべき理由」を言葉で説明し、家族が率先して実践しながら、子どもの思考や行動を見守るようにしましょう。

3-2. 全てを子どもに委ねる

子どもの自発性を育てるためには、「親が口出ししすぎず子どもの行動を見守る」という「放任主義」の考え方を取り入れることも大切です。

しかし、子どもに基本的な生活習慣や社会のルール・マナーを教えず、子どもが周囲の迷惑を考えず好き勝手に行動する状況を肯定することは、放任主義とは言えません。このような状況で全てを子どもに委ねることは、「ほったらかし(放置)」にあたります。

子どもが自分で考えて適切な行動をとれるようにするためには、「他人に迷惑をかけない」「危険な行動をしない」などの基本的な躾(しつけ)をしておくことが大切です。自発性の育成を図る前に、生きる上で必要な習慣や規則・マナーを早い段階で身につけさせておきましょう。

3-3. 親が先回りする

本来であれば子どもが自分で考えて取り組むべき行動を、「子どもが心配」と親が先回りして対応してしまうことも、自発性の育成を妨げる要因になります。

子どもが学校生活や園生活を送る上で、小さな失敗や困難はつきものです。子どもは自分のミスや周囲とのトラブルを経験し、乗り越えることで思考力や判断力・行動力を育んでいきます。

しかし、親が先回りしてミスを引き起こす原因や困難の根源を取り除いてしまうと、子どもは小さな失敗や困難を経験しないため、自分で考えるクセを身につけられなくなります。子ども自身が自分で対策や対処法を考える能力を身につけさせるためにも、何でも干渉して対応を先回りすることは避けましょう。

まとめ

「自発性」とは、自分が取り組みたいことを自分で考えて実行できる性質・気質のことであり、自分で考えて行動するという点では「主体性」「自主性」と共通しています。子どもの自発性を育てるためには、親の普段からの関わり方も重要です。「自分で考えて行動させる」など、子ども自身が伸び伸びと思考・行動できる環境づくりを実施しましょう。

親の働きかけ次第で子どもの自発性を伸ばせる一方で、自発性の獲得・育成を妨げる関わり方もあることに注意が必要です。子どもに基本的な生活習慣や社会的なルール・マナーを身につけさせた上で、指示や命令・先回りした言葉かけや行動などをせず、子どもを信頼して見守ることを心がけましょう。

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