子どもの勉強には、時間帯ごとに適した学習内容や教科が存在します。時間帯に合った学習計画を立てることで、子どもは効率的に学力を高められるでしょう。
この記事では、せっかく子どもに勉強させるのであれば少しでも効率よく勉強させたいと考えている人向けに、時間帯別のおすすめの勉強方法や内容を詳しく紹介します。日々の学習プランについて悩んでいる人はぜひ参考にしてください。効果的な学習方法を知り、集中して勉強に取り組める環境をつくりましょう。
1.子どもの勉強に適している時間帯はある?朝勉強と夜勉強のメリット・デメリット
まず前提として、子どもの勉強に適した時間帯はその人の体質や生活習慣によって異なるため、この時間帯がよいと断定することはできません。目覚めてすぐ頭がスッキリする子どももいれば、起きてからすぐは頭が働かない子どももいるためです。同様に夜のほうが勉強に集中できる子どももいれば、夜になるとすぐ眠たくなってしまう子どももいます。
一般的なイメージとして、朝が得意な人は健康的で夜が得意な人は不規則といった印象もあるかもしれませんが、必ずしもそうとはいえず、朝型・夜型どちらにもメリットやデメリットがあります。
ここからは、朝勉強と夜勉強それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
1-1.朝勉強のメリット・デメリット
【朝勉強のメリット】
- ・頭が冴えている
- ・勉強の妨げがない
- ・限られた時間で集中できる
朝目覚めた直後は脳の疲労が抜けており、心身ともにリラックスした状態です。空腹状態ということもあり頭がスッキリと冴えているため、学習効率が高まります。また、幼稚園や学校に行くまでという制限時間があり、その時間内で決められたところまで学習を進めようとすることで、自然に集中力が高まるでしょう。
【朝勉強のデメリット】
- ・朝起きられない可能性がある
- ・睡眠時間が少なくなる
特に朝に弱い子どもにとって、早起きはかなりハードルが高いでしょう。朝勉強を想定して早く就寝したとしても、予定の時間に起床できないことも十分にあり得ます。夜遅くまで勉強したり疲れやストレスが溜まっていたりすると、早起きはさらに難しくなります。
また、朝に勉強をする予定を組んでいると、睡眠時間が少なくなる可能性もあります。睡眠時間が短くなると、頭の働きが悪くなってしまうため、就寝時間が遅くなった場合は早起きは諦めたほうがよいでしょう。
1-2.夜勉強のメリット・デメリット
【夜勉強のメリット】
- ・暗記に適している
- ・やるべきことは先にやる習慣がつく
- ・1日の復習ができる
夜に勉強タイムを設けるメリットの1つは、記憶が定着しやすいという点です。人は睡眠中に暗記したものを記憶として定着させます。勉強後すぐに睡眠に入ることで、記憶力を高めることができるため、夜は暗記する勉強に取り組むとよいでしょう。
また、やるべきことは先にやるというメリットもあります。夜に勉強時間を設定することで、食事やお風呂などを勉強より先に終わらせる癖がつくため、生活習慣が整いやすいでしょう。
【夜勉強のデメリット】
- ・疲労が溜まりやすい
- ・睡眠時間が削られる
デメリットの1つは、疲れが溜まりやすいという点です。1日の疲れが溜まった状態で勉強をすると身体や脳にさらに負担がかかります。疲れて眠たかったり翌日早く起きなければならなかったりする場合は、勉強は諦めたほうがいいでしょう。睡眠時間が短くなると疲れが残り、翌日の勉強効率も悪くなります。
2.【時間帯別】おすすめの勉強法と内容!
身体や脳の状態は1日の中で変化します。そのため、時間帯に適した勉強内容を知ることが大切です。朝の頭が冴えた状態で取り組んだほうがよい勉強もあれば、夜寝る前に取り組んだほうがよい勉強もあります。
時間帯別におすすめの学習方法や内容は以下の通りです。
2-1.【朝】計算・復習
朝の脳は、疲れが抜けてクリアな状態なので、思考力や集中力が高まりやすい傾向にあります。その特徴を生かして、深く考えなければならない計算問題に取り組むとよいでしょう。
目覚めてすぐは頭が十分に動かないため、まずは簡単な問題から徐々に難易度を高めていくことをおすすめします。社会人が朝のメールチェックで脳を活性化してから仕事をはじめることと同じで、子どももまずは100マス計算など単純な問題に取り組み、勉強スイッチを入れることが大切です。
計算の後におすすめの勉強は、前日に学習した内容の復習です。前日に暗記した情報は寝ている間に脳の中で整理され、初めて取り組んだ内容は短期記憶として忘れ去られてしまうことがあるためです。短期記憶ではなく長期記憶として残すために、復習を欠かさず行いましょう。
2-2.【昼~夕方】演習問題
昼から夕方にかけての時間帯は、交感神経やホルモンなどの影響で脳の働きがよくなるため、演習問題や作文など発想力が必要となる勉強に取り組むとよいでしょう。この時間帯に集中できると、思いがけないアイデアが浮かんだり、素晴らしい文章が書けたりします。
昼〜夕方は脳の働きがよくなるのと同時に、昼食後の眠気と戦わなければならない時間帯です。未就学児であれば昼寝を必要とする場合もありますが、小学生になると仮眠の取りすぎは夜に眠れなくなる場合もあるため注意が必要です。しかし、短時間の仮眠は勉強効率を上げる上で効果的なため、眠気を感じた場合は仕方ないと割り切って、15分〜30分程度の仮眠タイムを取るようにしましょう。
2-3.【夜】暗記
夜の脳の状態は、疲れが溜まり発想力は低下しています。一方で、寝る前に覚えたものは記憶に残りやすいため、社会などの暗記が必要な科目がおすすめです。就寝前に勉強したことは翌朝ひらめきやすいともいわれているため、試験がある前日の夜に勉強するとテストの問題がスラスラ解けるようになるかもしれません。
反対に、夜に思考力が必要な問題に取り掛かると、アドレナリンが分泌されて脳が興奮状態になり眠れなくなる可能性があります。考えなければならない問題は翌朝に回し、暗記科目に徹するようにしましょう。
3.時間帯を決めて勉強する際に押さえたいポイント3つ
時間帯を決めて勉強することは勉強効率を上げることにつながるためおすすめです。しかし、勉強が難しくなる小学校高学年に入るまでは、時間帯にこだわりすぎず、机に向かう習慣を身につけさせることが重要です。小学校低学年までの勉強は比較的楽しみながら取り組めるものが多いため、勉強習慣を身につけやすい時期といえるでしょう。
ここでは、時間帯を決めて勉強する際に押さえておきたいポイントについて紹介します。
3-1.スケジュールを立てる
時間帯を決めて勉強する場合、あらかじめスケジュールを立てる必要があります。その際に重要なことは、子どもと一緒に学習計画を立てるということです。
親が一方的に勉強する時間帯や学習内容を決めてしまうと、子どもはやらされている感覚になります。自主的に行動しているわけではないため、途中で「もうやりたくない」と勉強を放棄したり勉強自体が嫌いになったりするかもしれません。一方、自分で勉強計画を立てることができれば、意欲的に勉強に取り組むことができる上に、子どもの自主性も育むこともできます。
親がサポートしながら一緒に学習プランを立て毎日の生活を見守ることで、子どものやる気を引き出すことができます。
3-2.ツァイガルニク効果を利用する
時間帯を決めて勉強する際は、ツァイガルニク効果を利用するとよいでしょう。ツァイガルニク効果とは、達成できたことよりも、達成できなかったり中断してしまったりしたことのほうが、人間の印象に残るという心理現象のことです。テレビドラマやアニメを見た時に、いいところで1話が終わると続きが気になることがありますが、これもツァイガルニク効果です。
勉強においても、あえて中途半端なところで休憩に入ることで、モヤモヤした気持ちを早く解消したくなります。中途半端で終わらせることで脳が忘れてはならないことと認識し、学習した内容が記憶に残りやすくなります。
3-3.目標を決める
勉強に取り組む時に重要となるのが、目標を決めるということです。目標を定めることで、緊張感が生まれ、集中力がアップします。目標は、短期目標と長期目標の2種類、設定します。
短期目標とは、「テキストを2ページ進める」「単語を20個覚える」などの比較的達成しやすい小さな目標のことです。多くの場合、より大きな目標へのステップとしての役目を果たします。短期目標を設定するポイントとして、「休憩時間を減らす」「寝ないで勉強する」などの意欲面ではなく、実際に取り組む内容を具体的に決めることが大切です。
長期目標とは、「英検に合格する」「受験を成功させる」などの大きな目標のことです。長期目標を設定することで、勉強を続けるモチベーションにつながります。勉強を頑張ることで、どのような未来が待っているのかを具体的にイメージできるとよいでしょう。長期目標を達成するためには、定期的に進捗状況を確認しながら自分に足りないものを把握することが重要です。