子供が小学生になると幼児までとは異なり、学習習慣を身に付ける必要が出てきます。我が子には「楽しく勉強してほしい」「勉強を習慣化してほしい」と思う保護者の方も多いのではないでしょうか。
小学生の学力を向上させるためには、子供だけではなく、保護者も効率的な勉強法を知ることが大切です。当記事では、小学生の勉強時間や勉強方法、学習環境などに着目し、勉強を楽しく取り組むためのポイントを紹介します。ぜひ家庭学習の参考にしてください。
1.小学生の平均勉強時間は?
国立教育政策研究所が発表した「平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査 調査結果資料【全国版/小学校】によると、月曜日から金曜日における学校以外の勉強時間は下記の通りです。
勉強時間(1日当たり) 勉強している子供の割合 3時間以上 12.7% 2時間以上3時間未満 16.9% 1時間以上2時間未満 36.6% 1時間未満 23.9% 30分未満 7.5% まったくしない 2.3%
出典:国立教育政策研究所「平成31年度(令和元年度) 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【全国版/小学校】
小学生の勉強時間と一口にいっても、小学1年生と6年生では勉強量や勉強意欲が異なります。また、学校によっては宿題が多く出されており、宿題以外の勉強をする時間がない場合もあるでしょう。
私立の中学を受験するかしないかによっても勉強時間は異なりますが、小学生の子供の約7割が2時間未満の勉強をしています。
2.小学生の子供に勉強を習慣付けるコツ
小学生に家庭学習の習慣を付けるためには、勉強時間にばかり目を向けないように注意しましょう。勉強を習慣化するためには、勉強時間よりも学習方法などの中身が大切です。
初めから長い勉強時間をとっても、集中できなくては勉強をするの意味がありません。まずは短い時間から始めることをおすすめします。
小学生に適している勉強時間は、おおよそ30分以内です。
【勉強時間を30分以内にするメリット】
- 集中して勉強に取り組める
- コツコツと毎日続けられる
- 自分から勉強をする意欲が出る
毎日勉強を続けたり、自分から勉強をやったりすることは、子供の勉強への意欲を高めます。子供に無理やり勉強をさせていると、大きくなったときに勉強をしなくなる可能性もあるため注意が必要です。子供が自ら勉強する習慣をつけさせましょう。
3.【小学生】楽しく進んで勉強させるポイント
小学生が自発的に勉強に取り組むようにするためには、子供に「勉強は楽しいものだ」と伝えることが大切です。小学生では、自分でどう勉強に向き合えばよいか分からない場合もあるため、保護者の方も一緒に勉強法について考えましょう。
以下では、子供が楽しく取り組めて、やる気アップにつながる勉強法を3つ紹介します。
3-1.親子でコミュニケーションを取る
「親子のコミュニケーションがどう勉強に関係するの?」と思う方もいるでしょう。親子のコミュニケーションが取れていると、自然と親子の絆が深まります。
親子の絆が深まり、勉強で不安な点があるときにすぐに親に相談できれば、子供は1人で孤独に勉強をしている感覚を薄めることができます。コミュニケーションを頻繁に取ると、親も子供の理解度を確認できるなど、勉強に関する情報を得られるでしょう。
また、学習意欲の科学的研究に関わるプロジェクトでは、親子がコミュニケーションを取り、目標意識や知的探究心を高めることで、学力が高くなる
ことが報告されています。
コミュニケーションを取るといっても、構えすぎる必要はありません。日常生活と勉強に関連性のある話題づくりをしたり、好奇心を刺激する話をしたりするだけで、子供は学ぶことを覚えていきます。
3-2.集中しやすい学習環境を整える
小学生の子供が勉強するためには、保護者が率先して家庭で集中力が高まる学習環境を整える必要があります。
集中しやすい学習環境と聞くと、1人になれる静かな勉強部屋を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、静かな勉強部屋ではやる気が育たなかったり、遊んでしまったりする場合があります。
集中しやすい学習環境は、下記の通りです。
- 安らいでリラックスできる空間
- 騒がしくない空間
- 分からないことを誰かに聞ける環境
- 学習塾
必ずしも静かで1人になれる環境が必要なわけではありません。たとえば、リビングで家族が読書をし、子供は勉強をするなどのリビング学習もおすすめです。
学習塾は集中できる場所ですが、大勢で授業を受けるタイプや、学習塾個別指導タイプなどがあり、学習指導や先生が子供に合わない場合もあります。学習塾を利用する際には体験授業を受けるとよいでしょう。
3-3.楽しく勉強できる教材を使う
楽しく勉強するためには、教材選びも重要です。以前は教材の種類が限られていましたが、現在は数多くの商品が手に入ります。小学生におすすめの教材は、以下の通りです。
●市販のドリルやワーク
書店には学年別の教材が多数販売されており、教科書に沿って説明しているワークもあります。ただし、ワークは出版社別に分かれているため、購入する際は注意しましょう。
また、学力別のワークであれば、子供のレベルに合った教材を選ぶことができ、ワークのページ数も調整できます。見た目が可愛く、ゲーム感覚でできるワークも、勉強を毎日続けるために効果的です。算数の計算や国語の漢字、英語の単語などは定番のドリルがよく選ばれています。
●ネット上の無料プリント
ネット上には、無料でプリントできる学習総合サイトが多く存在しています。何度でもプリントして使えることが魅力です。
●スマホアプリ
最近は、スマホやタブレットを利用している小学生も増えています。せっかくならば、電話や遊びとしてだけではなく、勉強にも活用したいところです。英語学習アプリなどは機能が豊富にあり、音声付きで読んでくれる便利な学習アプリもあります。
●通信教育(オンライン学習を含む)
通信教育には、子供が楽しく勉強できるように工夫されたものが豊富にあります。定期的に教材が届くことも楽しみの1つになり、子供のやる気につながるでしょう。
4.小学生がやる気を損ねる非効率な勉強法
子供が勉強に取り組むために、多くの保護者の方は子供に声がけをしているでしょう。しかし、勉強法によっては子供のやる気を損ねたり、学習障害になったりする恐れがあります。
ここからは、小学生の子供にとって、逆効果となる勉強法を紹介します。小学生の子供の勉強方法に悩んでいる方は、ぜひ実践してください。
4-1.強制的に勉強させる
なかなか勉強をしない子供には、つい「勉強しなさい」と言ってしまいます。しかし勉強を強要すると、子供は自主的に勉強する意欲を失ってしまい、勉強が課題をこなす作業になる恐れがあります。作業は「多くの時間を勉強に費やせばよい」という非効率な勉強法であり、達成感を感じにくくなります。
理由を説明せずに勉強を促すのではなく、勉強をするとどんなよいことが起こるのか、しなかったらどうなるかを説明することが大切です。まだ小学生だから分からないと思わず、分かりやすい例えを出しながら、根気よく話すとよいでしょう。
4-2.ご褒美・罰を与えて勉強させる
あまりに勉強をしない子供には、ご褒美や罰を与えてしまいがちです。ご褒美や罰を与えて勉強をさせると、始めのうちは勉強をするようになり、テストでがんばる子供に安心感を覚えるでしょう。
しかし、勉強はご褒美をもらうためにするものではありません。勉強をしてよい成績をとることだけに注目すると、一時的に成績は上がるかもしれませんが、内容を理解する勉強にはならず、成長してからの成績が伸び悩むこともあります。
また、勉強しない子供に罰を与えることは、早く終わらせることや勉強しているふりをすることにつながる可能性があり、成果の得られない非効率的な勉強になってしまうでしょう。