早期教育のメリット・デメリットとは|種類と2つのポイントも

早期教育のメリット・デメリットとは|種類と2つのポイントも

小学校入学前の子どもに対して、早期教育を実施したほうがよいか気になっている方も多いのではないでしょうか。早期教育には複数の種類があり、子どもの特性に合わせて取り組むことで能力を高められる傾向です。

この記事では、早期教育の概要や日本における歴史、早期教育のメリットとデメリットについて解説します。「子どもには、これからの時代を生き抜くための力を無理なく身につけてほしい」と考える保護者の方はぜひ参考にしてください。

1.早期教育とは?

早期教育とは、子どもが小学校に入学する前の段階から実施する教育のことを指します。

早期教育が行われる理由は、子どもの脳が柔軟でさまざまな情報を吸収できる幼少期から教育することで、脳や体の発達を促進できるという考え方があるためです。また、小学校受験・中学校受験など、将来的な競争を有利に進めたいという思いも早期教育を始める動機の1つといえます。

家庭によっては乳幼児期から早期教育の環境を用意し、日々の子育てのなかで子どもの発達に役立つ刺激を与えるケースもあります。日本において現在のような早期教育が行われるまでに至った歴史や、早期教育の主な種類は次の通りです。

1-1.早期教育の歴史

日本における早期教育は、江戸時代以前から存在していたと考えられています。江戸時代以前は現在のような義務教育の制度がなかったため、幼少期から地域社会の一員として生活を営むために必要な訓練が行われていました。

明治時代になると「明治維新」により、学年ごとの教育内容が定められたことで早期教育は一時的に下火となります。大正時代から昭和時代初期までは「軍国主義」の考えが普及していたため、早期教育を取り組む家庭はごく一部でした。

しかし、昭和時代後期にあたる1970年代には、高度経済成長に後押しされる形で、再び早期教育のブームが始まりました。1980年代には、過剰な詰め込み教育への反動から「ゆとり教育」が実施されます。2000年代以降は、都市部を中心に小学生受験・中学受験に力を注ぐ家庭が増えたことをきっかけに早期教育ブームが再燃しました。

ゆとり教育以降に再び始まった早期教育に対する関心の高まりは、現在に至るまで維持され続けています。

1-2.早期教育の主な種類

早期教育として取り組まれる習い事は、対象年齢や目的によってさまざまです。多くの家庭で取り組まれる主な早期教育として、次の3つが挙げられます。

〇音楽

音楽分野の早期教育では、ピアノやバイオリンなどの楽器演奏のほか、リトミックと呼ばれる音楽を通じた情操教育などが行われる傾向です。未就学児を対象としたクラスを持つ音楽教室や、個人教師の指導による音楽の早期教育が受けられます。

〇スポーツ

スポーツ分野の早期教育では、簡単な運動や体操などの基礎体力作り、競技選手になるためのトレーニングが行われる傾向です。特に、ダンス・フィギュアスケート・卓球・水泳などのスポーツは、小学校に入学する前から始める家庭が多く存在します。

〇外国語

外国語学習の早期教育では、国際化社会で活躍するために必要な英語学習が行われる傾向です。言葉を習得する幼児期の段階から、英語の音声や文字に触れられる環境を用意する家庭も多く存在します。

近年では、スマートフォンやタブレットで動画や音声を簡単に再生できるため、幼児向けの外国語学習教材も豊富です。

音楽・スポーツ・外国語は、子どもが楽しみながら取り組みやすい早期教育です。「子どもにどのような早期教育をさせようか迷っている」という方は、ぜひ上記の3つを中心に早期教育を探してみてください。

2.早期教育のメリット・デメリット

早期教育にはメリットとデメリットの両方が存在します。子どもに必要以上の負担をかけず健全な成長を促すためには、メリットとデメリットを把握したうえで、早期教育を実践することが重要です。

ここでは、早期教育のメリットとデメリットについて解説します。

2-1.メリット1:基礎的な学力が伸ばせる

早期教育を行う1つ目のメリットは、さまざまな物事を柔軟に吸収できる幼少期に言葉や数字などの知識を身につけ、基礎学力を伸ばせることです。

0歳~5歳にかけて、人間の脳は神経系が発達します。そのため、幼少期に教育を開始することで、就学前から高い知的能力を身につけさせることが可能です。

幼少期に文字の読み書きや簡単な計算が理解できると、より応用的な考え方を身につけるための準備が小学校入学までに整います。また、基礎的な学力が身についた子どもは、簡単な本を自分で読んだり、自然や科学に興味を持ったりする傾向です。

2-2.メリット2:子どもに自信がつく

早期教育を行う2つ目のメリットとして、子どもが自信を持ちやすくなることが挙げられます。

早期教育の取り組みでは、分野や内容にかかわらず成功体験を得ることが可能です。手先を上手に使って思い通りの作業ができたり、わからなかったことができるようになったりする経験によって、子どもに自信がつきます。

また、就学前に読み書きや計算の問題が解けるようになると、子どもが小学生になったときに授業でつまずく心配がありません。学校という新しい環境についていけることも、子どもの自信を育みます。

自信を持って物事に取り組めるようになると、さらに能力が向上し、できることが増える好循環を作り出せるでしょう。

2-3.デメリット1:主体性が身につくとは限らない

早期教育を行う1つ目のデメリットとして、主体性が必ずしも身につくとは限らない点が挙げられます。

子どもの成長にとって、自ら積極的に物事へ取り組む姿勢は重要な要素です。しかし、早期教育では与えられた課題をこなすタイプの訓練も多く、受け身の姿勢が身についてしまうケースもあります。

また、早期教育に取り組むにあたって、親が先回りして答えを教えることも子どもの主体性を損なう原因の1つです。学習内容を早く身につけて欲しいと焦るあまり、子どもが自分の頭で考える時間を親が奪ってしまうと、主体性が育まれない場合があります。

2-4.デメリット2:子どもに精神的なストレスを与えかねない

早期教育を行う2つ目のデメリットは、子どもに精神的なストレスを与えてしまう恐れがあることです。好奇心のおもむくままに行動したい子どもに対して、早期教育を無理強いすることは大きな負荷がかかります。

小学校入学前の期間は、知識や思考力だけでなく、情緒的な安定を得るためにも大切な時期です。子どもにとって大切な時期に精神的なストレスがかかると、その後の人格形成に悪影響となる危険性があります。

早期教育によって健全な成長をサポートするためには、子どもにかかる精神的なストレスを可能な限り少なくすることが大切です。

3.早期教育を実施する際のポイント2つ

最後に、早期教育を実施する際に注意するべき2つのポイントについて解説します。

〇子どもの自主性を尊重する

早期教育で子どもの成長をサポートする1つ目のポイントは、自主性を尊重することです。特に、親が子どもを抑圧するような言動や行動は控える必要があります。

子どもがやりたがらない勉強を無理に押しつけたり、高い点数を取ることを強要したりすると、子どもは自主性や学習意欲を失ってしまう傾向です。そのため、あくまでも子どもの自主性を尊重し、子ども自身のペースに合わせて教育を行うことがポイントとなります。

早期教育を行う場合は余計な口出しをせず、子どもの成長を見守ることが大切です。

〇子どもが楽しめることを重視する

早期教育で子どもの成長をサポートする2つ目のポイントは、子どもが楽しめるような取り組みを行うことです。

楽しめない活動は、子どもの集中力が長続きしません。一方で子どもが楽しめる活動であれば、親が強制しなくても自発的に取り組み、創造性や学習能力を発達させることができます。

子どもにとっての楽しみを重視するためには、子どもの趣向や早期教育の種類を理解したうえで、取り組む早期教育を選ぶことが重要です。子どもが楽しんで取り組んでいるかどうかをよく観察したうえで、適切な早期教育を行いましょう。

まとめ

早期教育とは、未就学児に対する教育のことです。日本における早期教育は明治時代に一度落ち着きましたが、1970年代以降再びブームとなりました。早期教育の内容としては、音楽・スポーツ・外国語などが多い傾向です。

早期教育を行う際は、メリットとデメリットを把握し、子どもの自主性や楽しみを重視することが重要です。

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