お受験で小中一貫校を考えている家庭が増えています。
小学校から中学校までの9年間を同じ学校で学びながら人生経験を積むことができる小中一貫校。
そこにはメリットもデメリットもあるため、受験の候補に入れるときは慎重に検討する必要があります。
現在、小中一貫校に国公立大学の附属校や高校・大学を見据えた私立の進学校までさまざまなタイプが存在しています。
2016年4月には新しく義務教育学校も新設されました。
ここでは、小学校から国立や公立、私立の小中一貫校合格を目指してお受験するのに必要な情報とメリット・デメリットをご紹介します。
目次
日本における小中一貫教育の設置形態
日本では小中一貫教育を設置形態から見て、次の4つのパターンに分類することができます。
・施設一体型
小学校と中学校が同じ敷地にあり、校舎を共有しているパターンです。
小学生と中学生は同じ施設を使って学びます。
一つの学校に小学校と中学校が両方設置されていますが、それぞれの学校は独立していて校長や教職員は別々です。
・施設隣接型
小学校と中学校が隣同士にあるパターンです。
施設も学校運営もそれぞれ独立していますが、小学校から隣の中学校にそのまま進学するスタイルを取っています。
・施設分離型
別々の場所にある小学校と中学校を小中一貫校として扱うパターンです。
上の2つと違って同じ、または離れた施設である場合が多く、小学生と中学生が一緒に学ぶといった意識はかなり薄くなります。
・義務教育学校
9年間を通して一つの学校で学ぶ新しいスタイルの小中一貫校です。
これまで小中一貫校であっても小学校は6年間、中学校は3年間と従来通りの修業年数のままでした。
義務教育学校では小中一貫校という一つの学校を新設したため、校長や教職員も1校に1名、1組織となります。
また、施設の形態に柔軟性があり、一つの施設であっても教育課程の都合で施設を分けても許されます。
小中一貫教育のメリット
小中一貫教育には次のようなメリットがあります。
・独自の教育課程
既存の小学校や中学校の枠にとらわれない自由な教育カリキュラムを組むことができます。
9年間という6・3制の義務教育では難しかった長期的な教育が可能です。
同じ担任や教職員が小学校と中学校の時間枠を超えて生徒を指導できたり、生徒それぞれの能力や個性を把握して特性に応じたフォローがしやすくなったりします。
・中1のギャップ解消
小学校から中学校に進学した際に発生する中1のギャップをなくすことができます。
同じ環境で中学生に進級するので、中学進学に伴うストレスを減らし、学習内容についていけない状況が解消されると考えられます。
小学校から生徒を見ている教員がいるので、中学進学でつまずいてもフォローしやすくなります。
・小学校と中学校の交流が盛ん
小学校と中学校が共同で行事を行ったり、学習面で学年を超えて協力し合えたりなど、学校の枠にとらわれずに交流できます。
また、教職員同士のやりとりも増え、進級に伴う生徒の情報が把握しやすくなるメリットも。
学校運営の問題点を一緒に改善できる可能性も高まります。
小中一貫教育のデメリット
素晴らしいメリットがある小中一貫校ですが、一方でデメリットも持っています。
・生徒の人間関係がリセットできない
小学校と中学校が同じであるため、入学から卒業まで学年の生徒の顔ぶれが基本的に変わりません。
もし相性の悪い生徒同士や問題のある生徒がいても、中学進学で人間関係をリセットして再スタートすることはできません。
・教員免許が偏っている
教職員の持つ教員免許は小学校と中学校のどちらかでかまわないため、より専門的な教育ができるか不安が残ります。
ただし、義務教育学校のように原則として両方の教員免許を持っていることが条件となる小中一貫校が生まれたため、他の学校でも併有を求める方向へ移行すると見込まれます。
・子どもがみんな進学できるわけではない
近くに小中一貫校がなかったり、選抜試験に合格しなければ進学できなかったりするなど、全員に門戸が開かれているわけではないのもデメリットでしょう。
義務教育学校であれば一般的な小学校や中学校と同じように無試験で誰でも入学できますが、まだ数が限られているのが現状です。
まとめ
小中一貫校はそれぞれの学校施設の立地や運営形態によって4つのパターンがあり、実際の教育においてもそれぞれに特色があります。
長期的な教育課程の実施や中1のギャップの解消といったように、既存の小学校と中学校が抱える問題点をカバーできるメリットがある反面、「卒業まで人間関係が固定化される」「まだまだ小中一貫校自体が少ない」といったデメリットもあります。
2016年4月からは小中一貫校の新形態である9年修業の義務教育学校がスタート 。
これまでの問題点を克服できるか注目しましょう。
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